代謝性疾患

Knowledge Check グルカゴンの多面的な生理作用

サイトへ公開:2026年04月28日 (火)

インスリンの拮抗ホルモンとして、低血糖時に膵α細胞から分泌され、血糖を上昇させることで知られるグルカゴン。
近年、血糖制御にとどまらない多面的な作用が明らかとなっているのをご存じでしょうか?

本コンテンツでは、グルカゴンの多面的作用を、臓器別にご紹介します。
代謝性疾患の病態理解に役立つ生理学の知識アップデートに、ぜひお役立てください。

まずは、次のうち先生がご存じのグルカゴン作用をCheckしてみましょう。

□ 脳(視床下部):摂食抑制   
□ 肝臓:糖新生促進
□ 肝臓:脂肪酸酸化促進
□ 消化管:消化管運動抑制
□ 脂肪組織:脂肪分解促進、熱産生促進

解説を見る

それでは、他の先生方の認知度と比較しながら、これらの臓器に対するグルカゴンの主な作用を見ていきましょう。    

グルカゴン受容体は、肝臓、脳、腎臓、脂肪組織、膵臓、心臓などに発現し、多面的な作用をもたらします1,2)
中でも肝臓における発現が多く1)、肝臓はグルカゴンの主要な標的臓器であると考えられます。
*方法:エムスリー社において、2025年12月に、m3.com会員医師のうち、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病ならびに肥満症の診療に5年以上の臨床経験を有する医師1,334名に、5つのグルカゴン作用に関する認知度調査(インターネットベースのアンケート調査)を実施し、回答が得られた101名の結果を分析した。 

1) Bomholt AB, et al.: Commun Biol. 2022; 5(1): 1278.
2) Svoboda M, et al.: Mol Cell Endocrinol. 1994; 105(2): 131-137.

3) Wewer Albrechtsen NJ, et al.: Diabetologia. 2023; 66(8): 1378-1394.
4) Kimball CP, et al.: J Biol Chem. 1923; 58(1): 337-346. 

3) Wewer Albrechtsen NJ, et al.: Diabetologia. 2023; 66(8): 1378-1394. 

3) Wewer Albrechtsen NJ, et al.: Diabetologia. 2023; 66(8): 1378-1394.
10) Mochiki E, et al.: J Gastroenterol. 1998; 33(6): 835-841. 

3) Wewer Albrechtsen NJ, et al.: Diabetologia. 2023; 66(8): 1378-1394.
7) Brandt SJ, et al.: J Intern Med. 2018; 284(6): 581-602.
8) Beaudry JL, et al.: Mol Metab. 2019; 22: 37-48.
9) Vasileva A, et al.: Am J Physiol Endocrinol Metab. 2022; 323(4): E389-E401. 

5) Müller TD, et al.: Physiol Rev. 2017; 97(2): 721-766.
6) Geary N, et al.: Am J Physiol. 1992; 262(6 Pt 2): R975-980.

グルカゴンの作用と血中濃度

このように、グルカゴンは肝臓をはじめとするさまざまな臓器に多面的に作用することが知られ、ほかにも心臓や腎臓に対する作用も知られています11,12)
これらの作用には生理的な血中濃度で発揮される作用と、薬理学的濃度で発揮される作用があり、消化管運動抑制作用や脳(視床下部)での摂食抑制作用、白色脂肪組織での脂肪分解促進作用および褐色脂肪組織での熱産生促進作用は、グルカゴンの薬理学的濃度で発揮される作用である可能性が高いと考えられています13)
11) Petersen KM, et al.: J Clin Endocrinol Metab. 2018; 103(5): 1804-1812.
12) Wang M-Y, et al.: Cell Metab. 2024; 36(3): 575-597.e7.
13) 北村忠弘. 実験医学 2024; 42(14), 2126-2133.

生理的な血中濃度で発揮される作用と、薬理学的濃度で発揮される作用の違いを区別することがグルカゴンの作用を理解するうえで重要であるのと同時に、グルカゴンの作用機序には未解明の点が多く、今後の発展が期待される領域と考えられます。

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