代謝性疾患

代謝の中枢としての肝臓の働き

サイトへ公開:2026年05月15日 (金)

主な機能として、代謝、解毒、胆汁の生成・分泌が知られる肝臓1)
1) Schulze RJ, et al.: J Cell Biol. 2019; 218(7): 2096-2112.

肥満症・2型糖尿病・脂質異常症といった代謝性疾患の管理でその働きが重要な意味を持つことをご存じですか?

代謝性疾患の管理でなぜ肝臓が重要か3つのポイントから解説します。

1.代謝における肝臓の役割

2.肝臓の代謝機能障害がもたらす悪影響

3.そもそも肝臓への脂肪蓄積はなぜ起こる?

1.代謝における肝臓の役割

全身の代謝の中枢としての肝臓

肝臓は体内のエネルギー代謝を司る重要な代謝器官です。
複数のホルモンや栄養素、自律神経による制御の下、糖質・脂質・アミノ酸代謝の中心的な役割を担っています2)
2) Rui L, et al.: Compr Physiol. 2014; 4(1): 177-197.

糖代謝における肝臓の働きは広く知られていますが、脂質代謝においてもその働きは不可欠です。

肝臓における脂肪の合成・分解には、グルカゴンやインスリンなどのホルモンが関与しています。
グルカゴンは脂肪分解や脂肪酸のβ酸化を促進することで脂肪蓄積減少に、インスリンは脂肪合成を促進することで脂肪蓄積の増加に作用します3)
3) Hædersdal S, et al.: Nat Rev Endocrinol . 2023; 19(6): 321-335.

2.肝臓の代謝機能障害がもたらす悪影響

肝臓への脂肪蓄積は代謝機能障害を引き起こしさまざまな悪影響をもたらします

肥満症、2型糖尿病、脂質異常症などの代謝性疾患では、しばしば脂肪肝を合併します4)
4) Tobari M, et al.: Gut Liver. 2020; 14(5): 537-545.

肝臓に脂肪が蓄積すると、代謝ストレスや脂肪毒性により肝細胞死や肝臓の炎症が引き起こされます5)
これによりインスリン抵抗性や血管機能障害が惹起されて代謝機能障害の悪化を招き、心血管疾患や2型糖尿病の発症リスクが高まります5,6)
5) Wegermann K, et al. Clin Liver Dis (Hoboken) 2018; 11(4): 87-91.
6) Ndumele CE, et al. Circulation 2023; 148(20): 1636-1664.

肝臓の脂肪蓄積が多いほど将来の心血管疾患リスクも高まります

海外の研究では、肝臓の脂肪含有量が高いほど追跡期間中の心血管疾患リスクの発生率も高かったことが報告されています7)
7) Pisto P, et al.: BMJ Open. 2014; 4(3): e004973.

3.そもそも肝臓への脂肪蓄積はなぜ起こる?

肝臓に脂肪が蓄積するメカニズム

過栄養に対し、通常、脂肪細胞は増殖あるいは肥大して対応します8)
8) 西澤均. 外科と代謝・栄養. 2021; 55(3): 115-119.

しかし、エネルギー摂取が過剰になり、脂肪細胞の増殖・肥大化で対応しきれなくなると、肝臓や骨格筋、膵臓、心血管系などの組織にも脂肪が蓄積する(異所性脂肪)と考えられています8)
このようにして肝臓に異所性脂肪が蓄積した状態が脂肪肝です。

肝脂肪の減少により、全身の代謝機能改善が期待されます

これまでの報告から、肝脂肪の減少は血糖管理の改善や、脂質プロファイルの改善などに関連することが示唆されており9,10)、肝脂肪の減少は全身の代謝機能改善につながります。
9) Cuthbertson DJ, et al. PLoS One 2012; 7(12): e50117.
10) Gepner Y, et al.: J Hepatol. 2019; 71(2): 379-388.

先生が日々診療している肥満症・脂質異常症の患者さんや2型糖尿病のある方でも、肝臓に蓄積した脂肪が病態に悪影響を及ぼしているかもしれません。

代謝性疾患の管理において、肝脂肪の減少は重要なアプローチのひとつです。

代謝性疾患患者さんを診る際は、肝臓に目を向けてみませんか?

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