日本呼吸器学会プロジェクト「木洩れ陽 COMORE-By2032」第1回
サイトへ公開:2024年01月31日 (水)
COPD患者の健康寿命の延伸と死亡率減少を目指して
本シリーズでは、全2回にわたり一般社団法人 日本呼吸器学会 閉塞性肺疾患学術部会の室 繁郎 先生より、“COPD死亡率減少”を目指す日本呼吸器学会のプロジェクト、「木洩れ陽 COMORE-By2032」についてお話しいただきます。今回は、本プロジェクトを立ち上げた背景や目的、および「健康日本21(第三次)」との関連などを伺いました。ぜひ、ご覧ください。
【まとめ】
- 「健康日本21(第三次)」におけるCOPDの新たな目標は死亡率減少とされた
- 日本呼吸器学会では、COPD死亡率減少を達成するためのプロジェクトとして、Project for COPD MOrtality REduction BY 2032 (COMORE-By2032、日本呼吸器学会COPD死亡率減少プロジェクト・通称 木洩れ陽2032)を立ち上げた
- 「木洩れ陽 COMORE-By2032」の取り組みとして、学会ホームページにて「COPDの自然歴と早期受診・診断・治療介入による死亡率減少までのプロセス」を掲載した
- スピオルト®は、日本人COPD患者の呼吸機能および運動耐容能への影響について検討されている
令和5年5月31日に厚生労働省から「健康日本21(第三次)」を推進する上での基本方針が公表され、COPDでは死亡率減少が目標とされました1)。日本呼吸器学会では、この目標を達成するためのプロジェクトとして、Project for COPD MOrtality REduction BY 2032(COMORE-By2032、日本呼吸器学会COPD死亡率減少プロジェクト・通称 木洩れ陽2032)を立ち上げました2)。
本コンテンツでは、このプロジェクトの詳細について、一般社団法人 日本呼吸器学会 閉塞性肺疾患学術部会の室 繁郎 先生(奈良県立医科大学 呼吸器内科学講座 教授)に伺いました。
「木洩れ陽 COMORE–By2032」を立ち上げた背景
「木洩れ陽 COMORE–By2032」は、「健康日本21(第三次)」に関連する日本呼吸器学会のプロジェクトです。
令和5年5月31日に厚生労働省から「健康日本21(第三次)」を推進する上での基本方針が公表されました1)。その中でCOPD対策としては、第二次に引き続き認知度の向上を行うことに加え、「COPDの発症予防、早期発見・治療介入、重症化予防」など総合的に対策を講じていくことが必要と示されています。また、令和3年度の統計で人口10万人あたり13.3のCOPD死亡を令和14年(⻄暦2032年)には10.0まで減少させる、という新たな目標案が掲げられました(図1)。
図1

これを受け、日本呼吸器学会 閉塞性肺疾患学術部会では、「COPD死亡率減少」という目標を達成するために、学会として何ができるのかについて議論を重ねました。そして、本学会理事長の平井 豊博 先生のご指導のもと、本プロジェクトの立ち上げに至りました。
「木洩れ陽 COMORE–By2032」の目的
本プロジェクトは、COPDの認知度向上、および診断・適切な治療介入を促進させることにより、最終的に死亡率減少に結び付けることを目的としています。そして、この目的を実現するために、医療従事者のみならずさまざまなステークホルダーに向けて学会ホームページ等を通して情報発信を行っていきます。
このような目的を設定した背景には、「健康⽇本21(第⼆次)」までのCOPD対策の状況も関係しています。第⼆次におけるCOPDの目標は、COPDの認知度を80%に向上させることでした。しかし、ベースライン(平成23年)の約25%から最終評価時の令和元年時点では約28%に留まっており、目標未達でした3)(図2)。
図2

こうした状況を踏まえると、第三次の目標であるCOPD死亡率減少を達成するためには、まずは、疾患啓発や、健康診断などを利用したCOPDの早期発見・診断率向上というところから始める必要があると考えました。
また、本学会はもとより、都道府県、各市町村などの自治体や、呼吸器専門医だけでなく非専門医を含めた医師、薬剤師、理学療法士などの多職種からなる医療従事者、製薬企業などの関連企業も含めて取り組んでいくことが必要であると考えました。

健康日本21(第三次)の目標として、新たにCOPDでは死亡率減少が掲げられた背景とは
日本呼吸器学会は、「健康日本21(第三次)」におけるCOPDの目標設定にも関与していました。今回、第二次の目標である認知度向上から、死亡率減少という、より踏み込んだ目標が掲げられた背景には、4つの理由があります。
一つ目は、「健康日本21(第三次)」の大きなコンセプトである「生活習慣の改善」に向けて、COPDの認知度向上だけでなく、病気を良くすることでより患者さんに寄与したいという医療従事者としての思いです。
二つ目は、第二次の目標は未達ではありましたが、それでも10年前に比べれば、認知が進んできた部分もあるため、より治療介入にも踏み込める状況になってきたと考えたことです。
三つ目は、この10年間で多くの研究が行われ、薬物療法や呼吸リハビリテーションなどの介入により、COPDが予後を改善しうる疾患であるということが分かってきたことです。
そして、四つ目は、公的なデータベース(e-Stat)4)を用いてCOPD死亡というアウトカムを評価できることです。
実際のところ、「令和14年度におけるCOPDの死亡率10.0(人口10万人当たり)」という目標値は非常に高い目標であると考えています。しかし、ステークホルダーが一丸となり、早期発見・治療、増悪抑制等の対策を講じていくことで、死亡率減少に近付いていけると考え、このような目標値を設定しました。
「木洩れ陽 COMORE-By2032」の死亡率減少に向けた取り組みについて
「木洩れ陽 COMORE-By2032」の取り組みのひとつとして、2023年7月17日にホームページにて「COPDの自然歴と早期受診・診断・治療介入による死亡率減少までのプロセス」を掲載しました(図3)。
このコンテンツを作成した目的は二つあります。
ひとつは、死亡率減少までのプロセスの中で、各ステークホルダーがどの時点で関与できるのかを分かりやすく示すことです。たとえば、自治体の方には早期受診の促進において、また、医療従事者には診断~治療介入において、それぞれ具体的にどのような関与ができるのかを一目見て分かるようになっています。
もうひとつは、COPDに対して適切な介入を行うことで健康寿命の延伸・死亡率減少につながり、一方で未診断・未治療の場合は呼吸機能や筋力、活動性の低下を来し、ひいては健康寿命の短縮につながるということをお伝えすることです。
図3

本プロセスの中で、特に重要と私が考えているのが、COPDの早期発見です。私たち呼吸器専門医のところにCOPD患者さんが紹介されるタイミングは、疾患がかなり進行してからということも多いと感じます。非専門医の先生方におかれましては、COPDを早期に発見いただき、専門医につなげていただくことで、患者さんの疾患進行の抑制および健康寿命の延伸をともに目指していきたいと考えています。

次回は、室先生より、「木洩れ陽 COMORE-By2032」を踏まえたCOPD診断率向上と適切な治療介入、診療連携についてご解説いただきます。
【引用】
- 厚生労働省:「健康日本21(第三次)」を推進する上での基本方針を公表します
- 日本呼吸器学会:健康日本21(第三次)日本呼吸器学会プロジェクト「木洩れ陽 COMORE-By2032」
https://www.jrs.or.jp/kenkou21/(2023年10月閲覧) - 厚生労働省:最終評価報告書 第3章(Ⅰ~Ⅱ4)
- 厚生労働省:e-Stat 政府統計の総合窓口
- 日本呼吸器学会COPDガイドライン第6版作成委員会 編:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第6版. 2022, p.70.
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