Meet the Expert Web講演会レポート
サイトへ公開:2024年05月30日 (木)
かかりつけ医の先生と共に携わるCOPD診療
COPD診療において、かかりつけ医と専門医の連携の重要性が指摘されています。かかりつけ医は、患者さんの生活習慣や健康状態、家族背景など、患者さんに関する細かな情報を有し、専門医よりも総合的に患者さんと関わる立場にあることから、「安定期はかかりつけ医、急性期は専門医」といった機能分化と在宅医療の強化の推進が求められています。今回は、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学の佐藤篤靖先生に「かかりつけ医の先生と共に携わるCOPD診療」をテーマにご講演いただきました。
開催年月日:2024年1月23日 開催地:オンラインにより実施

佐藤 篤靖 先生
京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 講師
■ COPDの治療と重要性 ―― 診断と評価、治療
本日は、➀COPDの治療と重要性、➁かかりつけ医と病院:連携の重要性、➂実際のコンサルト症例――の3つに分けて解説します。
まず、COPD治療と重要性についてです。COPD診療の流れは診断と評価、その後の治療という、ごく普通のものです。しかし、多くの患者さんを診られているかかりつけ医の先生方にとって、COPDの疑いがある患者さんの診断や評価の時間をとることは難しいかと思います。医療機関を受診するCOPD患者さんは、ゆっくり動いたときでも息苦しく感じるようになったり、動くと症状が出るのでなるべく動かないようになったり、急性増悪を起こしたり、症状を自覚している方がほとんどです。咳や痰がからんだり、同年代の人と同じように動けなかったり、といったように、症状がない潜在的なCOPD患者さんが、COPDを疑って診療所を受診されることは恐らくないでしょう。健康診断でCOPDの兆候が見つかったり、「主治医がCOPDを疑い、専門医の受診を勧められた」といったりするケースは少ないといえます。
COPD診療の基本である、早期発見、早期治療という観点からは物足りないというのが実情で、かかりつけ医の先生方から専門医への受診を積極的に促していただければと思います。一方、かかりつけ医に移行したいと考えている専門医もいます。病院と診療所における2人のかかりつけ医、いわゆる病診連携の充足が強く求められていると感じています。
COPDの診断には、呼吸機能検査を実施します。ピークフローの低下や、強制呼出時の流量が安静呼出時の流量を下回るなど、呼吸機能検査によって一目瞭然ですが、スパイロメトリーを行うだけでも日常診療の中ではハードルが高いはずです。また、気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーでFEV1/FVCが70%未満であるかを確認していただきたいのですが、薬剤の準備をどうするのか、誰が吸入指導を確認するのか、を考えるのも大変ですし、さらに患者さんに吸入してもらってから15分後の再度の受診をお願いするのは現実的に難しいでしょう。これ以外の業務も多いかかりつけ医の先生方にとって、潜在的なCOPD患者さんを発見することは困難です。
ここで重要なのが、かかりつけ医の先生方と専門医の連携です。COPDの病態は多くの場合、進行性であり、長期管理を要するため、管理目標の設定が重要です。十分な管理は、症状およびQOLやADLの改善に加え、増悪を予防し、患者の将来リスク(疾患進行、死亡率)の低減にもつながると期待されます。たとえば患者さんから「これまでは階段の途中で息が切れてしまっていたけど、治療したら上りきることができた」「万歩計で200~300歩が限界だったのが、1000歩までいけた」といった声を聞けるのは、とても嬉しいことです。現状の改善に加え、増悪の予防、疾患進行の抑制および健康寿命の延伸といった将来リスクの低減のために、かかりつけ医の先生方と密に連携していきたいと考えています。
■かかりつけ医と病院:連携の重要性 ―― 仕組みに沿った連携方法
COPD患者さんの息苦しさの原因は過膨張肺です。息は吸えるものの、それを吐くことができず、空気が肺の中にどんどん溜まっていっているのです。COPD患者さんの問診の際「空気を吸うことが難しくなってきませんか」と聞いてみると、多くの患者さんが納得されるはずです。LAMAあるいはLABA、もしくはLAMA+LABAといった薬物療法に加え、禁煙やワクチン、身体活動性の向上と維持、合併症・併存症の予防・治療といった非薬物療法を実施してください。
評価については、呼吸機能検査はもちろん、万歩計の歩数を確認するのもよいでしょう。また、呼吸困難(息切れ)を評価するmMRCという質問票があります。患者さんに症状の辛さを聞く指標として、問診で活用してみてください。さらに、CAT(COPDアセスメントテスト)は、咳や痰、息苦しさ、労作時の呼吸困難といった問診で聞きやすいことに加え、日常生活の制限、肺の状態が気になって外出できなかったり、よく眠れなかったり、元気がないというように、問診で聞き取りにくいことも評価できるようになっています。特に注目していただきたいのが、坂や階段を上ったときに息切れがするかどうか、という項目です。このほかの項目はそれほど高い点数にならないのですが、息切れに関する項目は如実に表れます。肺の過膨張によって、空気を取り込めず、苦しいのでしょう。
しかし、適切な治療によって、過膨張の改善が期待できますし、咳や痰を減らすこともできます。QOLも上がりますし、将来リスクの低減にもつながります。ここで、重要になるのが、かかりつけ医の先生方の役割です。かかりつけ医の先生方は、患者さんの生活習慣や健康状態、家族背景など、患者さんのバックグラウンドを細かく把握しています。潜在的なCOPD患者さんの多くがすでにかかりつけ医を受診しているというのが実情です。COPDの増悪をきっかけにさまざまな病気が見つかる、と考えられがちですが、増悪になる一歩手前の状況を見てみると、すでに循環器疾患や慢性腎臓病、さらにはうつ病などの症状を有している患者さんがほとんどです。COPDを主病として治療を始めてみたらほかの疾患が見つかった、ということではなく、ほかの疾患を診ていたらCOPDも見つかった、という見方が正しいのです。ほかの疾患と関連が強いこともCOPDの特徴の1つです。日常的に患者さんを診られているかかりつけ医の先生方に、COPDの兆候を気にするようにしていただければと思います。
国が推進する医師の働き方改革や病院の機能分化などによって、京都大学医学部附属病院でも診療体制再編の必要性に迫られています。4月から勤務医の時間外労働の上限規制が導入されます。また、日常診療はかかりつけ医が担い、緊急時の対応は病院が担う、といったように機能を分化することで、病院の外来患者の待ち時間の短縮につなげようとしています。病院と診療所それぞれの医師が連携することによって、外来の役割の分担・効率化、入院患者への対応力の向上、包括的管理を目指した併診体制の構築が可能となります。「安定期はかかりつけ医、急性期は専門医」といった機能分化と在宅医療の強化が求められているのです。
COPD診療においては吸入指導が特に重要で、そこでは医師だけでなく薬剤師も大切な役割を担っています。京都大学医学部附属病院では吸入指導外来を開設し、院内の薬剤師による練習用吸入器による吸入指導と、保険薬局の薬剤師による実薬による吸入手技の確認・指導を実施しています。それぞれが密に連携して患者さんの情報を共有し、医師にフィードバックしてくれるため、適切な治療方針を決めることができています(図1)。実際に、吸入指導外来の開設前、開設1年後および4年後の喘息、COPDの緊急入院患者数を比較したところ、吸入指導外来の開設後はCOPDの緊急入院患者数が減少するといった効果が表れています。
吸入指導の重要性に鑑み、京都大学医学部附属病院薬剤部では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時にも、直接対面せず、画面越しでマスクを外しての吸入指導を可能にするシステムを構築し、吸入指導外来を継続しました。吸入流速、吸入と噴霧の同調の確認など、直接対面している状況と遜色ない吸入指導を実現できました。

■実際のコンサルト症例 ―― 京都大学医学部附属病院の場合
京都大学医学部附属病院では、かかりつけ医の先生方と連携し、気道疾患外来への紹介を数多く受け付けています。そのうち、最近の259症例の紹介初診時と最終診断の結果をまとめました。紹介理由は喘息やCOPDの疑い、咳が止まらないといったものです。最終的にCOPDと診断された患者さんの特徴として、まず高齢であることが挙げられます。また、CATの点数が、ACO(喘息とCOPDのオーバーラップ)で19.41点、喘息で15.52点となっているのに対し、COPDでは12.10点と低くなっています。
紹介患者さんのうち、COPDの疑いがあるとして受診される場合、実際にCOPDであることがほとんどで、最終診断の変更が少なくなっています。これは、かかりつけ医の先生方がCOPDの疑いを適切に見極めていただいているということです。地域連携の一環として開催している、かかりつけ医の先生方とのCOPDに関する勉強会の成果であり、良い傾向であると実感しています。
COPD診療において必要なマネジメントをまとめました(図2)。mMRCやCATによる問診、呼吸機能検査、FeNO、採血まで行っていただけるとより良いでしょう。治療導入に際し、まず薬剤についての説明を行い、医師と薬剤師の連携による吸入指導が効果的です。並行して、ウォーキングなど運動を励行してください。生活習慣病を併存している患者さんなどでは、ウォーキングでは苦しくなってしまうため、避けてしまうこともあります。そのようなときは、椅子を使った簡単な筋力トレーニングなどから始め、在宅の訪問リハビリテーションなど福祉サービスを利用し、食事や栄養の管理まで含めて取り組んでみるよう、紹介してみてください。その後は定期的な経過フォローを続けていきます。
病院では症状の変化時や増悪時に対応する体制を整え、日常診療はかかりつけ医の先生方に担っていただきたいと考えています。それぞれの役割を担っていくことによって病診連携が成り立ちます。かかりつけ医の先生方と今後も密に連携し、共にCOPD診療に携わっていきたいと思います。

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|お勧め指導箋のご紹介-「近ごろ、上がったり歩いたりできてます?」

[ 資材コード: 015063]
受診された患者さんに、日常生活での息切れを意識してもらうとともに、ウォーキングの効果や続けるコツ、注意点を分かりやすく解説しています。患者さんにお渡しいただき、患者さんとのコミュニケーションにお役立てください。
Point

息切れの程度について具体例を挙げ、患者さんにチェックしてもらうことで、医師や薬剤師の先生方は息切れの中に病気が隠れている可能性を患者さんに伝えることができます。また、動くことが億劫という患者さんにも、ウォーキングを無理なく楽しみながら続けてもらえるよう、モデルコースを紹介しています。
その他の関連情報
日本呼吸器学会プロジェクト「木洩れ陽 COMORE-By2032」第2回
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