Q&Aで基礎からわかる!間質性肺疾患(ILD)第1回ILDの予後は?(静止画)

サイトへ公開:2025年12月17日 (水)

ご監修:堀尾 幸弘 先生(東海大学医学部医学科 内科学系 呼吸器内科学 講師)

大学の同窓会で再会した一ノ瀬先生と大山先生。昔話に花を咲かせた後、話題はILDに移ります。

一ノ瀬先生:
ILDって注意が必要な疾患だとは思っているのですが、なんだか難しく感じるんですよね。私のような一般内科医が知っておいたほうがよいポイントって何でしょうか?

大山先生:
一番知っておいてほしいのは、ILDは死亡リスクの高い疾患だということです。だから、早期に発見して早期に専門医に紹介することが大切なんです。

ILDの死亡リスクは?

一ノ瀬先生:
ILDはどのくらい死亡リスクが高いのでしょうか?

大山先生:
日本の人口動態統計で実はILDは死因の上位に挙げられていて、死亡数は年々増加傾向にあります(図1)。

図1

そしてILDのなかでも特発性肺線維症(IPF)は、5年生存率が20〜40%と報告されています。各種がんと比べても予後不良の疾患だといえますね(図2)。

図2 

さらにIPFだけでなくPPFやPF-ILDと呼ばれる進行性の線維化を示す病態も、予後に注意が必要なILDとして知られています1)

COLUM:PPF、PF-ILDとは

 

ILDの中には、進行性の肺の線維化を示すものがあり、進行性肺線維症(PPF)や進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)と呼ばれています(図3)。

図3

これらは病理に基づく固有の病名ではなく、特発性間質性肺炎(IIPs)や自己免疫性ILDなど、さまざまなILDで認められる疾患挙動です1)

ILD疑い患者さんを見つけたらとるべき対応は?

一ノ瀬先生:
ILDってそんなに予後が悪いんですね。ILDが疑われる患者さんにはどのような診療をするのでしょうか?

大山先生:
専門医では、正確な診断、病態や重症度、治療適応の評価、予後の予測を行ったうえで、それに基づいて管理・治療を行います2)

ILDの治療では、炎症と線維化の程度も踏まえて、細胞性/炎症性ILDの要因に対してはステロイドや免疫抑制薬や生物学的製剤などによる治療、線維化性ILDの要因に対してはオフェブなどの抗線維化薬による治療がそれぞれ選択肢になります3)

一ノ瀬先生:
専門医が正確に診断・評価をして適切な治療につなげるんですね。だとしたら、私がかかりつけ医としてすべきことは、適切なタイミングで専門医へ紹介することですね。

大山先生:
そのとおりです。ILDは進行する前に専門医による病状の見極めが重要ですが、そのためにはかかりつけ医の先生の協力が欠かせません。

ILDにおける肺の線維化は不可逆的に進行しますし、急性増悪が生じる場合もあるんです。この急性増悪は、線維化を伴う間質性肺疾患(FILD)の死亡原因の26%を占めるという報告もあります(図4)。

図4

だからこそ、診察の中で少しでも息切れが強い、咳が長く続くなどILD疑いと考えられる患者さんがいらっしゃった場合はすぐに専門医に紹介していただきたいです。日本呼吸器学会による『特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き』でも、ILDが疑われる場合は、一度は専門医に紹介しておくことが重要なポイントとされています2)

一ノ瀬先生:
ILDは、とにかく早期発見・早期紹介ですね。

ILDの発症リスク因子は?

一ノ瀬先生:
うちのクリニックには本当にいろいろな患者さんがいらっしゃるのですが、ILDを疑うにあたって特に注意が必要な患者さんの特徴はありますか?

大山先生:
咳や息切れといった呼吸器症状はもちろんのこと、ILDの発症原因には関節リウマチなどの膠原病や、アスベストなどの粉塵やカビの吸入、鳥類との濃厚接触などの職業や環境などがあります(図5)。

図5 

そのほかに、ILDの合併リスクを上昇させる因子としては、男性、60歳以上、過去を含む喫煙歴、胃食道逆流症、心血管疾患、糖尿病などが挙げられます(図6)。

図6

一ノ瀬先生:
なるほど、普段診療する患者さんにも当てはまる方が多いですね。注意して診てみるようにします。

大山先生:
ILDを疑うにあたり、自覚症状、胸部画像検査での間質影や呼吸機能検査で低肺機能評価をすることも重要ですが、それらと同じくらい重要なのが聴診所見の捻髪音です。捻髪音は自覚症状や低肺機能よりも多くの症例で認められたという報告もあります4)。聴診部位にも注意が必要です(図7)。

図7 ※本コンテンツでは捻髪音は流れません。ご了承頂きますようお願い申し上げます。

一ノ瀬先生:
そうなんですね。聴診は一般診療のひとつですし、聴診部位に注意して診察したいと思います。

まとめ

● ILDは死亡リスクの高い疾患であり、予後不良のものが含まれる
● ILDは進行する前に専門医による正確な診断や予後予測を行い病状を見極めることが重要
● ILDへの適切な治療介入のために、一般内科医やかかりつけ医による早期の発見と専門医への紹介は必要不可欠

【引用】

  1. Kondoh Y, Inoue Y. Adv Ther. 2025;42(7):2988-3001.
    著者にベーリンガーインゲルハイム社より講演料等を受領している者が含まれる。
  2. 日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編. 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き 2022(改訂第4版). p.167-169. 2022 南江堂
  3. 日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編. 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き 2022(改訂第4版). p.57. 2022 南江堂
  4. Moran-Mendoza O, et al. BMJ Open Respir Res.2021;8(1):e000815.
    著者にベーリンガーインゲルハイム社より講演料等を受領している者が含まれる。

本ページは会員限定ページです。
ログインまたは新規会員登録後にご覧いただけます。

会員専用サイト

医療関係者のニーズに応える会員限定のコンテンツを提供します。

会員専用サイトにアクセス​

より良い医療の提供をめざす医療関係者の皆さまに​

  • 国内外の専門家が解説する最新トピック
  • キャリア開発のためのソフトスキル
  • 地域医療と患者さんの日常を支える医療施策情報

などの最新情報を定期的にお届けします。​

P-Mark 作成年月:2025年12月