Q&Aで基礎からわかる!間質性肺疾患(ILD)第3回ILDのスクリーニング方法は? 後編(静止画)

サイトへ公開:2025年12月17日 (水)

ご監修:山口 公一 先生(群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科 医員)

大学の同窓会で再会した一ノ瀬先生と大山先生。昔話もそこそこに、ILDの話題に花が咲きます。

ILDは死亡リスクの高い疾患で、死亡数も年々増加傾向にある(図1)と教えてもらった一ノ瀬先生は、スクリーニングの方法を大山先生に尋ねています。

図1

一ノ瀬先生:
先ほどは、ILDの早期発見のためのスクリーニング方法として聴診が重要だということと、問診について教えてもらいましたよね。胸部画像検査や血清検査も参考にできるということでしたが、詳しく教えてもらえませんか?

大山先生:
もちろんです。聴診や問診でILD疑いかどうか判断しづらい場合には、他疾患との鑑別として別の検査もあわせて判断することが必要ですからね。

ILDは胸部X線画像にどのように表れる?

一ノ瀬先生:
そうなんです。ILDの症状には労作時の息切れがあるとのことでしたが、呼吸困難の症状を呈する疾患は多数ありますよね。胸部X線検査は、呼吸困難を来す疾患の鑑別を進めるうえで重要だと思うんです。

大山先生:
おっしゃるとおりですね。慢性かつ労作性の呼吸困難がある患者さんに胸部X線検査で異常影が認められた場合、間質性肺炎や気管支拡張症が疑われます(図2)。

図2

一ノ瀬先生:
ILDでは、胸部X線画像にどのような変化がみられますか?

大山先生:
ILD患者さんの肺では、線状・網状影やすりガラス陰影などが認められます。また、肺の容積が減少して、横隔膜との境界が不明瞭となります(図3)。

図3

肺癌や心血管疾患の確認を目的に胸部X線検査を行う場合でも、これらの胸部異常影の確認は行っていただきたいです。

ILDの血清マーカーは?

 

一ノ瀬先生:
血清マーカーについては、何が使用されているのでしょうか?
    
大山先生:
ILDの診断補助として、KL-6や肺サーファクタント蛋白-D(SP-D)が用いられています。

KL-6は、MUC1ムチンに属する糖蛋白のひとつです。ILDにおける血清KL-6の上昇は、肺胞上皮及び基底膜の傷害を反映するとされています。

また、SP-Dは、肺サーファクタントに含まれるアポ蛋白です。ILDにおける血清SP-Dの上昇は、肺胞上皮及び内皮細胞間関門の傷害を反映するとされています(図4)。

図4

一ノ瀬先生:
KL-6やSP-Dが基準値未満であれば、ILDは否定されますか?

大山先生:
いいえ。KL-6やSP-DはILDで高い陽性率を示しますが、必ずしも高値とはなりません1)。あくまでも補助的な判断材料のひとつとして、捻髪音や症状、胸部異常影などからILDが疑われる場合に測定するとよいでしょう。

専門医への紹介にはCT検査も必要?

一ノ瀬先生:
ILDが疑われる患者さんを専門医へ紹介する際には、CT検査も必要ですか?

大山先生:
いいえ、必ずしも必要ではありません。ILDの診断には胸部高分解能(HR)CTの撮影が必須ですが、適切な撮影条件・観察条件を満たしたものでなければなりません。日本呼吸器学会による『特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き』では、「施設内にCT装置のない場合には、この時点で専門医への紹介も考慮してよい」とされています1)

一ノ瀬先生:
なるほど。うちにはCTがないのですが、そう聞いて安心しました。

大山先生:
ちなみに、『特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き』には、かかりつけ医のILD診療のためのフローチャートが掲載されています(図5)。

図5

問診での詳細な症状の聞き取りや聴診などの身体検査、胸部X線検査、血液検査の結果からILDが疑われた場合には、専門医に紹介してくださいね。早期の段階ではまだ自覚症状が出現していない可能性があるので、無症状であっても専門医へ紹介することが必要です。

一ノ瀬先生:
はい。早期に専門医の先生へ紹介するようにしたいと思います。

まとめ

● ILDでは胸部X線画像上、線状・網状影やすりガラス陰影などが認められるほか、肺の容積が減少して横隔膜との境界が不明瞭となる
● KL-6やSP-DはILDで高い陽性率を示すものの、ILDであっても高値とならない場合がある
● 胸部HRCT検査は、専門医への紹介時点では必ずしも必要ではない

【引用】

  1. 日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編. 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き 2022(改訂第4版). p.167-169. 2022 南江堂

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