間質性肺炎専門外来〜疾患理解に時間をかけることが個別化医療の基点となる~
サイトへ公開:2021年03月29日 (月)
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取材施設:日本赤十字社 さいたま赤十字病院(埼玉県さいたま市)
呼吸器内科 部長 松島 秀和 先生
呼吸器内科 副部長 佐藤新太郎 先生
呼吸器内科 副部長 山川 英晃 先生
(取材時の職位、所属となっております)
日時:2020年12月8日(火)18:00
会場:ブリランテ武蔵野 2階 エメラルドA
さいたま赤十字病院呼吸器内科は2018年6月、埼玉県南地域における間質性肺炎診療の核となる役割を担うため、専門外来を開設しました。医師2人で週1回の体制でスタートしましたが、患者増の中であとに続く医師も現れ、現在は3人で週2回に拡大し、科全体で診療レベルを向上させようという次のステップへも着実に歩を進めています。
POINT
✔専門外来だからこそ説明に時間をかけて患者の疾患理解を得る
✔多職種の多様な視点からの意見の交わりがチーム医療の意義
地域の専門医療の拡充に向け人員と設備が整う
松島秀和部長は間質性肺炎専門外来の開設に関して「埼玉県南地域には4つの基幹病院があり、その使命として、各病院が呼吸器でもあらゆる疾患に対応していますが、専門医療の効率化や集約化の観点から、間質性肺炎(ILD)診療の中心となる存在の必要性も感じていました。当院では、これまで佐藤新太郎先生が自ら積極的に診療を行う中、2018年4月に経験と実績を持つ山川英晃先生が着任したことが契機となり、2人が声を上げてくれました」と経緯をお話し頂きました。「院内では、18年に入って経気管支鏡下クライオ生検を実施できる環境が整い、組織診断も踏み込んで行えるようになっており、機は熟していました」とのことです。山川先生の着任後、2カ月で専門外来がスタートしました。
佐藤先生は「やはり山川先生の存在が大きかった。地域医療で不足する部分なのだから、2人で力を合わせようという話になりました」と述べられ、山川先生も「神奈川県立循環器呼吸器病センターで経験を積んできた自分の利点を活かし、地域医療に貢献できればと考えました」とお話し頂きました。
松島部長は「クライオ生検の実施にあたっては、佐藤先生に神奈川県立循環器呼吸器病センターに研修に行ってもらい、経験のある山川先生もスタッフに加わってくれました。クライオ生検は、組織を大きく採れるので診断には寄与しますが、病理評価がとても難しいと実感しています。当院では非常勤医師として武村民子先生に病理学的診断を御願いしており、MDD(multidisciplinary discussion)の体制を整え、迅速かつ適切な診断・治療を患者さんに提供できるようにしています」とのことでした。
治療もリハビリも継続にはまず「疾患の理解」から
山川先生は、専門外来の最大のメリットとして「説明する時間をしっかり取れること」を挙げられました。多くのILDは根治が見込めない疾患であり、すでに症状がある患者さんは不安を抱え、病気を受け入れるまでに時間が必要で、一方、病識がない人はそもそも自分がどのような病気か理解できていないことが多いと言われています。「まずは疾患のインフォームド・コンセントが重要。一度で理解できないのは無理もないので、個々の状況に合わせて説明を繰り返します。だからこその専門外来です」とご説明頂きました。
佐藤先生からも「薬物治療の説明でも、効果などに偏らず、どう全体像を示すかが重要ですが、情報量が多いので理解にはやはり時間を要します。自分の病状に応じた治療を理解できるまで根気よく説明します。リハビリも含めて“継続”には疾患の理解が欠かせません」とお話し頂きました。
多様な症例への多職種の積極関与でチーム力も向上
現在では年間200人超のILDの新患を受け入れており、約2割が特発性肺線維症(IPF-UIP)で、分類不能型特発性間質性肺炎も3割強に上ります。佐藤先生は「そうした症例を積み上げ、経験と知識を共有することで、院内では多職種による介入の重要性に対する理解が深まり、必然的に看護師と理学療法士のカンファレンスが始まるなど、チーム医療が進展しました」とお話し頂きました。山川先生からも「多職種の介入はどれも重要ですが、特に急性増悪して入院した患者さんのメンタルのフォローなどは医師一人では到底困難で、看護師や理学療法士の存在が大きい。多くの職種が関われば、それぞれに異なる視点から意見ももらえる。それがチーム医療の大きな意義です」とご説明頂きました。さらに、「ILDでは疾患の進行でやせる場合がありますが、進行に関係なくやせる患者さんも少なくありません。息苦しい→動かない→筋力低下→余計に息苦しくなる——という負の連鎖が一番よくないので、体力維持のためにはリハビリとともに栄養管理が重要。栄養士の関与も欠かせません」とのことでした。
松島部長は「専門外来の開設は、地域にILDで困っている開業医の先生がいれば、当院が引き受けますよという意思表示。紹介患者が増え、百人百様のようなILDの症例を経験する中で多職種の関与が高まり、より医療資源を投入する疾患の中心となって診療レベルが向上しています」と述べられました。

人材を育成しシステマティックに診療の底上げを
専門外来開設から丸3年を迎えようとする中、次の取り組みとして、「人材育成」に力を注がれようとしています。松島部長は「これまで順調に進展し、担当医も3人に増えましたが、いつまでも佐藤・山川両先生に頼るのではなく、どの医師でも一定水準のILD診療が行えるような段階に早くもっていきたいと考えています」と話されました。佐藤先生も「院内には検査・治療体制など、ILD診療に注力できる恵まれた環境が整ってきています。それを最大限に活かし、自分の診療はもちろんのこと、後進の育成にもフィードバックしていきたい」と述べられ、山川先生からは「ILDには合併症も含め多様な症例があるので、それを主体的に日常診療ができれば、どんな呼吸器疾患においてもレベルアップの近道になるということを若い医師には伝えています」とお話し頂きました。
最後に松島部長は「医師だけでなく、外来・病棟で多職種がより高いレベルで能動的に介入できるようなシステマティックな対応がさらなる発展につながると思うので、そうした環境整備は私の課題です」と今後の展望を話されました。

呼吸器内科 部長 松島秀和 先生
地域の開業医の先生方とはILDの勉強会なども行っていますが、病診連携のベースには、当院が「少しでも困ったことがあればすぐに対応する」という紹介外来の体制を整え、信頼関係、「顔の見える関係」を築いていることがあります。その上で、ILDに対する理解もさらに高まれば、より早期からの診断や介入が実現していくと考えています。

呼吸器内科 副部長 佐藤新太郎 先生
インフォームド・コンセントでは、病気、検査、そして薬物・非薬物治療、さらに制度的なことなど、多くの説明が家族も含め必要な患者さんもいるので、理解度を確認しながら時間をかけて説明していきます。治療においても、少し急いだ方がよいのか、待機的にいくべきかなど、やはり患者さんの状況や環境などを考慮した個別の対応が求められます。

呼吸器内科 副部長 山川英晃 先生
地域の開業医の先生方には、ILDを疑ったときに聴診で異常を感じるようなら、一度は紹介してみてくださいとお伝えしています。6分間歩行を行うのは大変ですから、診療所の廊下を少し歩いてもらってSpO2が下がるような患者さんは、積極的な紹介をお願いしているところです。早期介入できる患者さんを埋もれさせないことが何より重要です。
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