インタビュー取材 センターの使命として「診切る」医療を実践
サイトへ公開:2021年06月01日 (火)
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取材施設: 一般財団法人 慈山会医学研究所 付属 坪井病院(福島県郡山市) 間質性肺炎・肺線維症センター
副院長 兼 呼吸器科部長 兼 間質性肺炎・肺線維症センター長 杉野圭史 先生
呼吸器内科医長 小野紘貴 先生
看護師 熊谷幸枝 氏
理学療法士 馬上修一 氏
薬剤師 関根 悠 氏
(インタビュー時の職位、所属となっております)
日時:2020年10月5日(月)18:00
2020年10月26日(月)18:00
会場:福島県 坪井病院 講堂
全国初のがん専門の民間病院として知られる坪井病院が、地域に不足する診療機能を補うため、間質性肺炎・肺線維症センターを開設したのは2018年1月。連携する東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科(間質性肺炎センター)から杉野圭史先生が赴任して実現しました。開設準備期間も含め、これまでに約500名の新患を受け入れる実績を上げています。
POINT!
✔ 自ら考え動き、高められる個を集めてこその「チーム医療」
✔ 地域での間質性肺炎(IP)診療底上げにはセンター化と統括専門医が必要
長い臨床経過をたどるIPは「診切る」ことが重要
「郡山市内の呼吸器診療のなかでも間質性肺炎(IP)の地域医療連携の体制づくりはこれから」と語る杉野圭史先生。センターの開設によって、総合病院でそれまで非専門医が対応していた患者さんの受け皿となり、地域の開業医とは潜在的な患者さんの掘り起こしで連携し、「協調の地域医療体制が整う」ことが期待されました(図)。
地方ではIPセンターのように専門性の高い診療を行うことは難しく、郡山市も例外ではなかったわけです。そのため、杉野先生はセンターの方針に「診切る」ことを掲げています。「IPは急性期から終末期まで長い臨床経過をたどり、フェーズによって介入も異なるので、やはり診切ることが重要。患者さんもそれを望みます。紹介患者さんを最期まで診療していくことで非専門医や開業医の先生方も安心でき、信頼関係が築かれるのです」といいます。


「空隙を埋めるための専門医療を、自分の20年以上のキャリアをベースにゼロから作り上げることに、坪井病院とともにチャレンジしたいと考えました」と杉野先生は語ります。
病態や介入も異なる中で「考えるチーム」が機能
IPセンターの方針は地域に浸透し、現在では市外や県外からも週3名程度の新患が受診するようになりました。そこでカギを握るのがチーム医療の実践です。センター開設から1年はレクチャーを地道に繰り返し、「考えるチーム」を育成したという杉野先生。「様々な病態や経過があり、必要な介入も異なる中で、各職種は役割を能動的に考えて行動する必要があります。医師に依存しているようでは形だけの組織です。症例を積み上げながら、チームとしての統一した介入も徹底しました。やりっ放しの臨床ではなく、多職種が研究も重ね、個の力を上げることで、チームとしても大きな力が発揮できるのです」と力説します。
「12人のスタッフでこれだけの新患に対応できているのは、チームが有機的に機能している証しです」と、小野紘貴先生も胸を張ります(図)。

「カンファレンスで得た情報は、看護部で共有し、スタッフの底上げを図るとともに、他部門との連携を図る貴重な材料になっています」と熊谷氏。関根氏は「IPのチーム医療に参加し、『臨床と研究は両輪』であることを実感。今は薬剤師として何でも知りたい、やりたいとの思いが強いです」と意欲を見せます。
中小病院でのセンター化には統括専門医の育成を
IPが疑われた場合は、その中でも頻度が最も高く、治療抵抗性で予後不良であるIPF(特発性肺線維症)を鑑別することが重要となります。センターでは増加する新患に対応するため、適切な検査をコンパクトにまとめた3泊4日の精査入院クリニカルパスを活用しています(図)。
「このパスを運用する上での最大のポイントは最終日のインフォームド・コンセントです」と杉野先生。「4日間のうちに検査結果や今後の治療方針を説明するためには、画像や病理も理解し、総合的に診療していく専門医がいる事が必要不可欠です。したがって今後、IPを全体的に診るトレーニングを積んだ専門の臨床医を育てる必要があります。希少疾患ゆえの課題でもありますが、人材育成は非常に重要です」と指摘します。
「精査入院の特徴としては、リハビリ導入も見据えて筋力・筋肉量測定を行うほか、健康関連QOLも評価し、心理的側面からもアプローチしています」と馬上氏は説明します。
患者さんと医師の双方にまだIPFの診断が遅延する要因
2017年5月〜2020年10月までに当センターを受診したIPの新患は約500名。うち55%がIPFと診断されています。杉野先生は「このような数字も、氷山の一角との印象です。医療機関を受診してくれる患者さんも一部、医師が見つけられているのも一部で、双方に診断遅延の要因があり、専門医にたどりつかないという状況がまだまだあるのではないでしょうか」と実感を込めます(図)。
この3年間に、初診で受診した患者さんには病状が進行し、薬物療法に反応しなくなった人もいます。先ごろ、センターからは「非がん(慢性呼吸器疾患)の緩和ケアチーム」が派生し、活動を開始したところです。メンバーである小野先生は、「まだ外来診療が続く中で、そろそろ生活が厳しくなってきたといった患者さんが対象で、予後が予想しにくく難しい部分もありますが、IPの患者さんを診切るためにも必要な取り組み。またチームで職種ごとに役割を考えながら、少しずつでも前に進んでいきます」と抱負を語りました。

「開業医の先生方には、間違いでもよいので、自覚症状や捻髪音、胸部X線異常など、少しでもIPの疑いがあれば患者さんを送ってほしいとお願いしています」と小野先生はいいます。
間質性肺炎・肺線維症センター長 杉野圭史 先生 カンファレンスでは「こういう患者さんをこのように診られないか」というスタッフの発言が増えてきました。IP診療では治療薬も限られ、いかに少ない武器で異なる病態に対応していくかを考える必要があります。多職種が多様なアイデアを出せることこそが、チーム医療の強みです。そのオリジナリティーが個別化医療につながります。 | ![]() |
呼吸器内科医長 小野紘貴 先生 呼吸器内科医となった5年目、それまでがんを中心にやってきましたが、肺がんに併存するIPは抗がん剤で急性増悪を起こすなど、苦手意識のある医師も少なくありません。センターで杉野先生の診療を間近に見て、もっと学びたいと思うようになり、専門医が不足しているIPを診切れる医師を目指すことは、自分の強みにもなると考えています。 | ![]() |
看護師 熊谷幸枝 氏 IPの患者さんをケアする機会がなかったので、こんなにも具合が悪くなるんだ、がんよりも苦しむんだ、というのが当初の率直な印象でした。医師からは根治しないとの説明を受け、病状が進むにつれて、今までできていたことができなくなることのもどかしさもあります。そうした不安や思いを受け止めることが看護師の役割と考えています。 | ![]() |
理学療法士 馬上修一 氏 IPの患者さんは、動いた時のSpO2の低下がポイントになります。6分間歩行試験を実施してみると、急激に低下する場合もあり、リハビリや在宅酸素療法を検討すべく、医師や関係部門とすぐに連携し対応します。在宅において運動を継続するには、簡単な運動や呼吸の練習方法などをまとめた「運動メニュー」のファイルを活用しています。 | ![]() |
薬剤師 関根悠 氏 がん診療を学びたくて当院に入職しましたが、IPの様々な病態の患者さんに薬物療法を通じて寄り添うことにやりがいを感じています。服薬指導は初回を重視し、患者さんがゆとりをもって説明を聞けるよう導入前日に実施。副作用については、先に作用機序や効果をわかりやすく説明した上で、不安をあおることのないよう伝えています。 | ![]() |
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