INBUILD試験におけるオフェブの呼吸器症状に対する影響(静止画)
サイトへ公開:2024年12月19日 (木)
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ご監修:井上 義一先生(大阪府結核予防会 大阪複十字病院 顧問/独立行政法人 国立病院機構 近畿中央呼吸器センター 客員研究員)
進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)※1患者さんを対象に行われたオフェブの国際共同第Ⅲ相試験INBUILD試験では、呼吸機能低下の抑制効果だけでなく呼吸器症状に対する影響も検討されています。
今回は、INBUILD試験におけるオフェブの呼吸器症状に対する影響について紹介します。
※1 本コンテンツでご紹介する結果が掲載された文献のうち、Wijsenbeek M., Inoue Y. et al.: Eur Respir J.
2024;63(2):2300752.では、進行性肺線維症(PPF)の呼称が使用されています。本文献においてもINBUILD試験の
PF-ILDの定義を満たす患者さんが対象となっているため、本コンテンツではPF-ILDの呼称を使用します。
国際共同第Ⅲ相試験 INBUILD試験
試験概要
INBUILD試験の試験概要をお示しします(図1)。
図1

本試験は、特発性肺線維症(IPF)以外の間質性肺疾患(ILD)と診断され、スクリーニング前の24ヵ月以内に医師により適切と考えられた疾患管理を行ったにもかかわらず、図2に示すiからivのILDの進行性の基準のいずれかを満たす患者さん663例を対象に行われました。スクリーニングされた患者さんは、オフェブ群あるいはプラセボ群にランダムに1:1で割り付けられました(図2)。
図2

オフェブの呼吸機能低下抑制効果
主要評価項目である投与52週までのFVCの年間減少率は、オフェブ群-80.8mL/年及びプラセボ群-187.8mL/年であり、オフェブ群はプラセボ群に対して呼吸機能の低下を有意に抑制することが検証されました(図3左)。
また、52週までのFVCのベースラインからの変化量は、右側の図のように推移しました(図3右)。
図3

オフェブの呼吸器症状に対する影響
INBUILD試験では、オフェブの呼吸器症状に対する影響について、L-PFスコアを用いて検討されました。L-PFスコアは、肺線維症患者さんにおける症状に関する評価指標であり、symptomsとimpactsという2つのモジュールからなる44項目の質問で構成されます。なお、symptomsモジュールは、呼吸困難、咳嗽、疲労の3つのドメインで構成されています。symptoms及びimpactsスコアからL-PF総スコアが計算されます。
総スコア及びドメインスコアの範囲は0~100であり、スコアが高値であるほど、症状が重いことを示します(図4)。
L-PF:Living with Pulmonary Fibrosis
図4

ベースライン時のL-PFスコアをお示しします。(図5)。
図5

INBUILD試験全体集団における投与52週時のL-PFスコアのベースラインからの変化量について、総スコア、symptomsモジュール総スコア、impactsモジュール総スコア、呼吸困難、咳嗽、疲労の3つのドメインスコアのいずれも、オフェブ群でプラセボ群に対し変化量に有意差が認められました。symptoms咳嗽ドメインスコアについては、オフェブ群で減少が認められました(図6)。
図6

HRCTにおいてUIP様線維化パターンがみられる集団においても、総スコア、symptoms総スコア、impacts総スコア、呼吸困難、咳嗽、疲労の3つのドメインスコアのいずれも、オフェブ群でプラセボ群に対し変化量に有意差が認められました。symptoms咳嗽ドメインスコアについては、オフェブ群で減少が認められました(図7)。
図7

本試験では、日本人全体集団及びUIP様線維化パターンがみられる日本人集団においてもL-PFスコアの解析が行われました。
日本人全体集団及びUIP様線維化パターンがみられる日本人集団におけるオフェブ群、プラセボ群のベースライン時のL-PFスコアは図8のとおりです。
図8

図9に、日本人全体集団における投与52週時のL-PFスコアのベースラインからの変化量をお示しします。日本人全体集団においても、INBUILD試験全体集団と同様に、オフェブ群でsymptoms咳嗽ドメインスコアの減少が認められました(図9)。
図9

UIP様線維化パターンがみられる日本人集団においても、オフェブ群でsymptoms咳嗽ドメインスコアの減少が認められました(図10)。
図10

以上の結果から、INBUILD試験のPF-ILDの基準を満たす患者さんに対しオフェブによる治療介入を行うことは、呼吸困難や咳嗽といった呼吸器症状の悪化抑制につながると考えられます。
オフェブの安全性
INBUILD試験の全期間における有害事象は、オフェブ群で326例(98.2%)、プラセボ群で308例(93.1%)に認められました。オフェブ群における重篤な有害事象として主なものは肺炎24例、間質性肺疾患19例、急性呼吸不全16例などでした。オフェブ群において投与中止に至った有害事象は下痢21例、ALT増加6例、薬物性肝障害5例などであり、死亡に至った有害事象は、急性呼吸不全4例、呼吸不全3例などでした(図11)。
図11

主な有害事象は、発現頻度が高い順にオフェブ群で下痢240例(72.3%)、悪心100例(30.1%)、嘔吐64例(19.3%)など、プラセボ群で下痢85例(25.7%)、気管支炎64例(19.3%)、呼吸困難57例(17.2%)などでした(図12)。
図12

続いて、投与52週までの下痢、嘔吐、悪心、肝酵素上昇の有害事象の重症度をお示しします。オフェブ群において、下痢は、有害事象共通用語規準を用いた評価ではGrade 1が66.5%、Grade 2が23.1%、Grade 3が10.4%でした。嘔吐と悪心、肝酵素上昇は有害事象の重症度の判定基準を用いて評価しています。嘔吐は軽度が78.7%、中等度が21.3%、悪心は軽度が80.2%、中等度が19.8%でした。肝酵素上昇は軽度が69.7%、中等度が27.6%、高度が2.6%でした(図13)。
図13

下痢、嘔吐・悪心、肝酵素上昇に対する対処法
オフェブ投与時に下痢、肝機能障害、悪心・嘔吐が認められた場合の対処法はそれぞれ次のとおりです。
下痢
オフェブの投与に伴う下痢に対しては、通常、初回発現時にできるだけ速やかにロペラミドなどの止瀉剤による対症療法を行ってください。
適切な対症療法にもかかわらず、下痢が継続する場合には、本剤の減量・中断又は投与中止を考慮してください。対症療法にもかかわらず持続するような高度の下痢の場合は、本剤による治療を中止し、再投与は行わないでください(図14)。
図14

悪心・嘔吐
悪心・嘔吐に対しては、標準的な対症療法を行ってください。適切な対症療法にもかかわらず、悪心・嘔吐が継続する場合には、本剤の減量又は中断を検討してください。高度の症状が継続する場合は、本剤の投与を中止してください(図15)。
図15

肝機能障害
オフェブの投与に伴い、AST、ALTが基準値上限の3倍を超えた場合は、本剤を減量又は中断し、患者さんの状態を十分に観察してください。黄疸などの肝機能障害の徴候や症状が認められた場合には、本剤の投与を中止し、再投与は行わないでください(図16)。
図16

副作用・有害事象への対処については、電子添文もあわせて確認するようにしてください。
日常診療における呼吸器症状の確認
ここまで、INBUILD試験の呼吸器症状に対する影響を中心にご紹介しました。
オフェブによる治療介入の判断やILDの進行状況の確認においては、日常診療において咳や息切れといった呼吸器症状を確認し、経時的な変化を測定することが重要です。
INBUILD試験では、symptomsとimpactsという2つのモジュールからなる44項目の質問で構成されるL-PFによって呼吸器症状の評価が行われましたが、PF-ILDの代表的な疾患であるIPFで使用されることが多いそのほかの患者報告アウトカムであるSGRQやCAT、K-BILDなども呼吸器症状の評価指標として活用できます(図17)。なお、CAT以外の評価指標については、使用に際して著作権者の許可が必要となります。
図17

ご施設の状況に応じて用いる評価指標をご選択いただき、同じ評価指標を一貫して用いるようにしてください。
SGRQ:St. George’s Respiratory Questionnaire
CAT:COPD Assessment Test(COPDアセスメントテスト)
K-BILD:King’s Brief Interstitial Lung Disease
まとめ
INBUILD試験の結果から、PF-ILDの基準を満たす患者さんに対しオフェブによる治療介入を行うことは、咳や息切れといった呼吸器症状の悪化抑制につながると考えられます。
オフェブによる治療介入の判断やILDの進行状況の確認においては、日常診療において一貫して同じ評価指標によって咳や息切れといった呼吸器症状を確認し、経時的な変化を測定することが重要です。
今回ご紹介した内容を、PF-ILD患者さんのご診療にお役立ていただけますと幸いです。
その他の関連情報
特発性肺線維症および進行性肺線維症 国際診療ガイドライン2022(静止画)
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