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パーキンソン病における相対的な脳の過剰血流と運動機能障害との関連性
サイトへ公開:2025年05月29日 (木)
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Association of Relative Brain Hyperperfusion Independent of Dopamine Depletion With Motor Dysfunction in Patients With Parkinson Disease
Yoo HS, et al. Neurology 2024; 103: e210077
ご監修:渡辺 宏久 先生(藤田医科大学医学部 脳神経内科学 教授)
背景
パーキンソン病(PD)は特徴的な脳血流及び脳代謝パターンを示すためネットワーク障害とみなされている。黒質緻密部のドパミン作動性ニューロンの変性及び脱落、それに伴う線条体におけるドパミンの枯渇がPDの運動機能症状に関与するとされている。また、非ドパミン作動性の因子がPDの運動機能に寄与するとされるが、メカニズムについてはまだ解明されていない。
そこで、脳過剰血流がPDにおける運動機能症状及び疾患進行にドパミン作動性因子が関連せずに寄与しているという仮説を立てた。PDに特徴的な脳血流パターンを同定し、PDの運動機能症状や疾患進行とどのように関連しているかを明らかにすることを目的として、脳血流と線条体ドパミン輸送体のアベイラビリティを同時に評価する18F-FP-CIT(18F-N-(3-fluoropropyl)-2β-carbomethoxy-3β-(4-iodophenyl) nortropane)PETを用いて本検討を実施した。
方法
PD患者及び健常対照者を対象に、18F-FP-CIT及び脳MRIを施行した。18F-FP-CIT PETスキャンの画像取得時に、PDの重症度や進行度を測定するスケールであるMovement Disorder Society(MDS)-UPDRSのパートⅢ(運動能力)の合計スコアを測定した。早期相における標準取り込み率の比(SUVRE)から脳血流を定量化し、PD群と対照群を比較した。次に、後期相における標準取り込み率の比(SUVRD)からドパミン輸送体のアベイラビリティを定量化し、PDにおける運動機能症状とSUVRE及びSUVRDとの関連性を検討した。
さらに、早期相における過剰血流領域のSUVRE(SUVRE-HYPER)の標準化残差(SR)を後期相における被殻後部*のSUVRD(SUVRD-PP)から算出し、ベースライン及び経時的な運動機能症状、そして脳MRIの画像解析によって脳萎縮との関連性を検討した。
*:線条体におけるドパミン枯渇の主要領域とされる
結果
新規に診断された発症早期PD患者168例と年齢及び性別をマッチングさせた健常対照群30例(以下、対照群)が対象となった。血管リスク因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症)及び韓国版MMSE(Mini-Mental State Examination)の合計スコアに差はなかった。一方で、PD群では線条体のすべてのサブ領域におけるSUVRDが対照群よりも有意に低かった(p<0.001、t-test)。
PD群と対照群の局所的な脳血流を比較すると、PD群では小脳、大脳皮質、視床、海馬、一次運動野及び一次感覚野で相対的な過剰血流を認めた(図1)。一方、紡錘状回、下頭頂小葉、視覚野、中側頭葉及び中前頭皮質で相対的な低血流を認めた。
SUVRE及びSUVRDとUPDRSパートⅢの合計スコアで評価した運動機能症状との関連性を検討した。その結果、運動機能症状はSUVRE-HYPERと関連が強く、また、特にSUVRD-PPと関連していた。
そこで、SUVRE-HYPERとSUVRD-PPとUPDRSパートⅢの合計スコアで評価した運動機能症状との相関について検討した。SUVRE-HYPERと運動機能症状、SUVRD-PPから算出したSUVRE-HYPERのSRと運動機能症状との関連性を検討すると、それぞれ有意な正の相関を示した(それぞれ、r=0.274、p<0.001、r=0.210、p=0.007、線形回帰分析)。これは、ドパミンの枯渇と関連のない脳の過剰血流が、運動機能症状と関連していることを示唆する。
脳MRIの脳画像解析の結果、SUVRE-HYPERのベースラインにおけるSRが高値であると、脳の過剰又は低血流がみられる背外側前頭前野、一次及び補足運動野、尾状核、視床の萎縮が亢進する可能性が示唆された(図2)。
略語一覧
SUVRE:18F-FP-CIT PETの早期相における標準取り込み率の比
SUVRE-HYPER:18F-FP-CIT PETの早期相における過剰血流領域の標準取り込み率の比
SUVRD:18F-FP-CIT PETの後期相における標準取り込み率の比
SUVRD-PP:18F-FP-CIT PETの後期相における後部被殻の標準取り込み率の比
SR:標準化残差
結論
本研究の結果、PD患者ではドパミンの枯渇とは関連のない相対的な脳の過剰血流が起こり、その結果、運動機能症状及びその悪化につながることを明らかとした。つまり、相対的な脳の過剰血流は、運動機能障害及び神経変性の進行と独立した病態であり、臨床においてはPD患者のドパミン枯渇と脳血流を同時に評価することの重要性が示唆される。

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