慢性腎臓病における心腎イベントリスクを考慮した治療の重要性
サイトへ公開:2025年11月06日 (木)
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慢性腎臓病(CKD)における、透析導入および、心血管疾患イベントリスクに関する疫学データを紹介した後、EMPA-KIDNEY試験の結果をお伝えします。


こちらは、2型糖尿病を併発していない慢性腎臓病(CKD)の患者さんです。
高血圧を合併しており、治療としてアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を内服しています。
腎機能低下抑制のエビデンスを持つARBを内服していますが、治療強化の余地はないでしょうか。
このような背景を有する患者さんの治療を考える上で、着目すべき点を紹介します。

最初に、CKDステージ別の心血管イベントに関する疫学データを紹介します。
左側のグラフでは、ステージG3bのCKD患者の予後において、透析導入に比べて心血管疾患および/または死亡の発生率が高いことが示されています1)。
右側のグラフでは、ステージG3bのCKD患者において、心血管死の発現リスクがステージG1と比較して2.10倍高いことが示されています2)。

こちらはCKD患者において、末期腎不全と心血管死のリスクについて検討した疫学データです。
左側のグラフでは、CKD患者において、末期腎不全への進行と比較し、心血管死の累積発現率の方が高くなる可能性があることを示しています3)。
また、右側のグラフでは、腎臓専門医が診察するケースも多いと考えられるeGFR45mL/min/1.73m2未満の患者において、心血管死の100人年あたりの発現率は4.8と、末期腎不全への進行の約2.7倍の頻度であることが示されています3)。
以上のデータから、CKD治療においては透析導入リスクだけでなく、心血管イベントリスクも考慮した治療選択が重要ではないかと考えられます。

eGFRの年間変化率である、eGFRスロープと心血管イベントリスクの関連をみたデータを紹介します。
eGFRスロープは、腎機能を評価するための重要な指標の1つとして昨今注目されています。
日本人のデータベースを利用した調査では、eGFRスロープが-1mL/min/1.73m2から1mL/min/1.73m2である場合と比べ、-1mL/min/1.73m2以下の場合、すなわち負の方向に急峻なほど心血管イベントのリスクが高いことが示されました4)。
eGFRスロープを確認いただくことは、心血管イベントリスクを見逃すことなく、CKDへの治療介入をすることにつながります。
ジャディアンス試験データ

本スライドより、ジャディアンスのエビデンスを紹介します。
EMPA-KIDNEY試験5)は腎疾患進行のリスクのある慢性腎臓病患者を対象に、ジャディアンス10mgを1日1回経口投与した時の腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間に対する有効性および安全性を、プラセボと比較検討した試験です。

有効性・安全性の評価項目、解析計画は記載の通りとなります。

本試験の特性として注目いただきたい点は、慢性腎臓病の適応取得を目的とした大規模臨床試験において初めて蛋白尿区分A1を組み入れ、eGFR値20以上の患者が登録された点です。
こちらにお示しのように、アルブミン尿、糖尿病の有無にかかわらず、幅広いeGFR値の慢性腎臓病患者が組み入れられております。 糖尿病を併発していない患者が54.2%、RAS阻害薬使用中の患者が85.2%でした。

こちらが全体集団とRAS阻害薬使用群における主要評価項目に対する結果です。
全体集団においては、ジャディアンス10mgの投与によって腎疾患進行または心血管死の初回発現リスクが27%低下しました。また、既にRAS阻害薬を投与中の患者においてもジャディアンス10mgの追加投与により、腎疾患進行または心血管死の初回発現リスクが29%低下しました。

こちらは日本人集団におけるベースラインの糖尿病の有無、RAS阻害薬使用有無別にみた主要評価項目に対する結果です。
日本人においても、ジャディアンス10mgの投与により主要評価項目のリスクが56%低下しました。

さらに、冒頭で心血管イベントとの関連性についてお示ししたeGFRスロープに関するジャディアンスのデータをご紹介いたします。全期間におけるeGFRスロープは、プラセボ群に比べてジャディアンス10mg群で0.74mL/min/1.73m2/年と有意に負の傾きを緩やかにしました。
そして、2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院までの慢性期でみた際には、プラセボ群に比べてジャディアンス10mg群で1.36mL/min/1.73m2/年とeGFRスロープの負の傾きの有意な改善が示されました。 なお、eGFRのベースラインからの変化量の経時推移は、右側の図のとおり、18ヵ月でクロスしていました。
腎機能低下に対するSGLT2阻害薬投与による影響

安全性について、事前に規定した非重篤有害事象およびすべての重篤な有害事象に限定して有害事象を収集した結果、全体集団での発現割合はジャディアンス10mg群で43.9%でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風7.0%、コロナウイルス感染3.0%、急性腎障害2.8%等でした。
また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例等でした。
なお、投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

また、ジャディアンス10mgの心血管死に対する効果については、EMPA-REG OUTCOME試験にて検討されています6)-9)。
EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管イベントのリスクを有する2型糖尿病患者を対象として、標準治療に上乗せした場合のジャディアンス群とプラセボ群との心血管系疾患の罹患および死亡への長期の影響を調査しました。また、腎アウトカムについて探索的な解析を行いました。

結果としては、左上の主要評価項目である3P-MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)では14%の有意なイベント抑制が示されました。
そして副次評価項目である心血管死、全死亡、心不全による入院、これらいずれの項目においても、プラセボ群に対してジャディアンス群で有意なイベントリスク抑制が示されました。

安全性について、事前に規定した非重篤有害事象および全ての重篤な有害事象に限定して有害事象を収集した結果、全体集団での発現割合はジャディアンス10mg群で90.1%、ジャディアンス25mg群で90.4%でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で低血糖29.7%、尿路感染14.8%、高血糖9.4%等であり、ジャディアンス25mg群で低血糖28.8%、尿路感染14.8%、鼻咽頭炎9.4%でした。
また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群で低血糖38例、心筋梗塞33例、不安定狭心症28例等であり、ジャディアンス25mg群で急性心筋梗塞33例、心筋梗塞32例、低血糖32例等でした。
なお、投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。
今回は2型糖尿病を併発していないステージG3bの慢性腎臓病の患者さんにおける、腎機能と心血管イベントリスクとの関連性および、EMPA-KIDNEY試験、EMPA-REG OUTCOME試験について解説しました。慢性腎臓病の進行は透析導入のリスクだけではなく、心血管死を含む心血管イベントリスクを高めます。透析導入に加え、心血管イベントリスクを見据えた慢性腎臓病の治療選択肢として、ジャディアンス10mg※1をぜひご検討ください。
※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く
<参考文献>
- Okubo R, et al. Clin Exp Nephrol. 2014 ; 18 : 697-703.
- Fox CS, et al. Lancet. 2012 ; 380 : 1662-73.
- Dalrymple LS, et al. J Gen Intern Med. 2018 ; 26 : 379-85.
- Zhang L, et al. BMJ Open. 2022 ; 12 : e052246.
- 社内資料. 腎疾患進行リスクのある慢性腎臓病患者を対象とした国際共同第Ⅲ相・検証試験(承認時評価資料).
- 社内資料. EMPA-REG OUTCOME®(国際共同試験:検証試験、承認時評価資料)
- Zinman B, et al. Cardiovasc Diabetol. 2014 ; 13 : 102. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。
- Zinman B, et al. N Engl J Med. 2015 ; 373 : 2117-28. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。
- Wanner C, et al. N Engl J Med. 2016 ; 375 : 323-34. 本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。
- ジャディアンス電子添文 2025 年 9 月改訂(第 8 版).
その他の関連情報
G3aで正常アルブミン尿の2型糖尿病を併発しているCKDのリスクを考える
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