G3aで正常アルブミン尿の2型糖尿病を併発しているCKDのリスクを考える
サイトへ公開:2025年06月27日 (金)
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2型糖尿病を併発したステージG3aのCKDの例について、起こりうるイベント発生リスクと早期治療介入による腎機能低下を抑える意義についてご紹介します。

2型糖尿病があり、腎機能が低下している患者さんの
将来のイベント発生リスクのシミュレーション

今回は、2型糖尿病があり、腎機能が低下している慢性腎臓病患者さんの現在および将来に起こりうるリスクをシミュレーションしていきます。
この患者さんは、10年ほど前に2型糖尿病、高血圧と診断され、DPP4阻害薬およびARBを服用しています。HbA1cは6%台で安定し、尿蛋白定性(-)、UACR(尿中アルブミン/クレアチニン比)は、20mg/gCrです。ただし、3年前からeGFRは60mL/min/1.73m2を下回り、現在は51mL/min/1.73m2で、腎機能ステージはG3aです。
旅行が好きで、お孫さんも含めて家族でハワイ旅行したいという夢を持つ患者さんですが、今後どのようなリスクが懸念されるでしょうか。

この表は、eGFRのデータがある114コホートを対象としたメタ解析により、eGFRおよびUACRのクラス別に、全死亡、心血管死、心不全、腎代替療法を要する腎不全、急性腎障害などの10種のイベント発生リスクを検討した結果です。
前述した患者さんのように、eGFR 45~59mL/min/1.73m2かつUACR 10~29mg/gCrの場合、eGFR 90~104mL/min/1.73m2かつUACR<10mg/gCrの場合と比べて、腎代替療法を要する腎不全の発生リスクは19倍、急性腎障害は4.0倍、心不全は1.8倍、心血管死は1.7倍、全死亡は1.6倍になることが示されています(いずれもp<0.001、Cox比例ハザードモデル)。

また、この患者さんでは、eGFRスロープ(1年あたりのeGFRの低下速度を示す)が約-3.0mL/min/1.73m2/年で低下し続けた場合、現在のeGFR 51mL/min/1.73m2(ステージG3a)から約2年でeGFR 45mL/min/1.73m2未満(ステージG3b)になると推定されます。
腎機能ステージがG3aからG3bに進んだ場合の将来の各種イベントのハザード比を前述のメタ解析の結果をもとにみると、腎代替療法を要する腎不全は19から58に、心不全は1.8から2.5になりました(Cox比例ハザードモデル)。
このように、尿蛋白定性(-)、UACR 20mg/gCrであっても、腎機能の低下は各種イベントリスクに影響を来しうることがわかります。
正常アルブミン尿でもeGFRの低下により、
2型糖尿病のある方の心腎イベントの発現リスクは上昇

これまでの研究でも、たとえアルブミン尿が正常であっても、eGFRの低下が認められると、心腎イベントリスクが高くなることが示されています。
日本人の2型糖尿病があり、正常アルブミン尿(UACR<30mg/gCr)である方を対象にした国内の後ろ向き観察研究では、eGFR 60mL/min/1.73m2未満の場合、eGFR 60mL/min/1.73m2以上の場合と比べて、ベースラインからの50%以上のeGFR低下または腎代替療法の発現リスクが4.1倍、アルブミン尿区分の進行リスクが2.1倍、全死亡リスクが1.5倍になることが示されました(順にp<0.001、p<0.001、p=0.003いずれもCox比例ハザードモデル)。

また、2型糖尿病があり、正常アルブミン尿である方を対象にした海外の前向きコホート研究では、eGFR 30~59mL/min/1.73m2の場合、eGFR 90 mL/min/1.73m2以上の場合と比べて、心血管イベントリスクが3.05倍になることが示されました(p=0.002、Cox比例ハザードモデル)。
eGFRスロープを早期治療介入により緩やかにすることが重要

早期CKDにおいて、eGFRスロープは将来のイベントリスク予測の指標になると考えられています。
eGFRスロープの低下が0.5~1.0mL/min/1.73m2/年緩やかになれば、腎疾患進行が抑制される可能性があります。また、右図で示しているように、腎代替療法導入を回避するためには、早期のタイミングでの適切な治療介入がポイントになります。
ジャディアンスのエビデンス
EMPA-KIDNEY試験

ジャディアンスでは、EMPA-KIDNEY試験において、2型糖尿病のある患者を含む慢性腎臓病患者を対象として、ジャディアンス10mgを1日1回経口投与し、主要評価項目である腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間やeGFRスロープの変化などについて検討しました。
対象患者はeGFR 20mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満、またはeGFR 45mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満かつUACR 200mg/gCr以上(または尿中蛋白/クレアチニン比が0.3g/gCr以上)のいずれかを満たし、糖尿病のある方が約半数、RAS阻害薬使用が約85%を占めました。

その結果、主要評価項目のプラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.73(99.83%CI:0.59~0.89)、p<0.0001(Cox回帰モデル)であり、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました。

eGFRスロープは、2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院まで(慢性期)において、ジャディアンス10mg投与により、UACRにかかわらず有意に抑制されました(正常群:p=0.0008、微量および顕性アルブミン尿群:各p<0.0001、いずれもvs. プラセボ群、名目上のp値、shared parameterモデル)。
また、ジャディアンス10mg投与によるeGFRスロープの有意な抑制は、RAS阻害薬の使用の有無にかかわらず、認められました(RAS阻害薬の使用なし群:p=0.0087、RAS阻害薬の使用あり群:p<0.0001、いずれもvs. プラセボ群、名目上のp値、shared parameterモデル)。

安全性について、事前に規定した非重篤有害事象および全ての重篤な有害事象に限定して有害事象を収集した結果、全体集団での発現割合はジャディアンス10mg群で43.9%でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風7.0%、コロナウイルス感染3.0%、急性腎障害2.8%等でした。
また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例等でした。
なお、投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。
腎機能低下に対するSGLT2阻害薬投与による影響

eGFRスロープについて、SGLT2阻害薬投与による影響を他の血糖降下薬と比較した結果も示されています。
J-CKD-DBおよびJ-CKD-DB-Exに登録されている糖尿病のある方を対象とした国内の後ろ向き観察研究では、SGLT2阻害薬の投与により、その他の血糖降下薬を投与した群と比較してeGFRスロープを有意に抑制したことが示されました(p<0.001、名目上のp値、線形混合回帰モデル)。
また、RAS阻害薬を使用している方に対して、SGLT2阻害薬を追加投与した場合も、その他の血糖降下薬を投与した群よりもeGFRスロープを有意に抑制しました(p<0.001、名目上のp値、線形混合回帰モデル)。
ジャディアンスは、慢性腎臓病※1、慢性心不全※2、2型糖尿病に適応を有する

ジャディアンスは、慢性腎臓病※1、慢性心不全※2に対しては、1日1回10mg、2型糖尿病に対しては1日1回10mgまたは25mgの用量が設定されており、2型糖尿病に対しては治療強化が可能です。
※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
※2 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

2型糖尿病がある方においては、アルブミン尿が正常であっても、eGFRのステージが1つ変われば心不全、腎不全といった心腎イベントリスクへの影響度も変わります。
ジャディアンスは、EMPA-KIDNEY試験において糖尿病を合併している方、正常アルブミン尿の方や、RAS阻害薬を使用している方等に対するエビデンスがあります。
患者さんの未来を見据えて、早期からの適切な治療に、ジャディアンス錠10mgの処方をご検討ください。
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