高齢者2型糖尿病の心腎代謝連関を考慮した治療アプローチとジャディアンス
サイトへ公開:2023年12月20日 (水)
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高齢者糖尿病の特徴

超高齢社会である日本では、成人の糖尿病のある方のうち、78.2%が65歳以上であると推定されることが令和5年の患者調査で報告されました。
また、同患者調査では、年齢が上がるほど、糖尿病と心血管疾患や腎疾患を合併する方が多いことが示されました。

このように高齢者糖尿病には、老年症候群や薬物治療による低血糖リスクの増加だけでなく、若年者と比べて血管疾患、心不全、慢性腎臓病といった心腎合併症が高率に発現するという特徴があります。

糖尿病とそれに伴う心腎合併症は肥満や高血圧など共通のリスク因子を有しており、相互に関連していることが知られています。
高齢者糖尿病では、この心腎代謝連関を踏まえ、腎機能への影響を考慮した2型糖尿病治療を行うことで、合併症のリスクを抑えることが重要です。
高齢者におけるジャディアンスのエビデンス:EMPA-ELDERLY試験

高齢者糖尿病に対するSGLT2阻害薬の影響を検討するため、国内18施設において、65歳以上の高齢者2型糖尿病129例を対象としてプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験のEMPA-ELDERLY試験が行われました。
本試験は、糖尿病基礎治療に加えてジャディアンス10mgまたはプラセボを52週投与し、主要評価項目としてHbA1cのベースラインからの変化量、副次評価項目として体組成、握力、5回椅子立ち上がりテストの所要時間のベースラインからの変化量、統計解析計画書での事前規定項目として体重のベースラインからの変化量について、検討しました。

参加者の平均年齢はジャディアンス10mg群で74.2歳、プラセボ群で74.0歳、平均HbA1cは両群とも7.6%でした。平均BMIはジャディアンス10mg群で25.7 kg/m2、プラセボ群で25.4 kg/m2、平均eGFRはそれぞれ81.9 mL/分/1.73m2、79.1 mL/分/1.73m2でした。糖尿病に対する基礎治療としてはDPP-4阻害薬、ビグアナイド薬が多く使用されていました。

日本人高齢者2型糖尿病に対するジャディアンス10mgの1日1回経口投与による、プラセボ群と比較したジャディアンス10mg群の52週時のHbA1cのベースラインからの変化量は-0.57%であり、ジャディアンス10mg群で有意なHbA1c低下作用を示したことから(p<0.0001、名目上のp値、MMRM)、日本人高齢者2型糖尿病においてもジャディアンス10mg 1日1回投与による血糖改善効果が確認されました。

【参考情報】
52週時のベースラインからの変化量の、ジャディアンス10mg群とプラセボ群の差は、体重が-2.37kg(p<0.0001)、筋肉量が-0.61kg(p=0.2310)、除脂肪体重が-0.53(p=0.1632)、体脂肪量が-1.84kg(p<0.0001)、体水分量が-0.63kg(p=0.0384)、骨格筋指数が-0.08kg/m2(p=0.3725)、骨塩量が-0.03kg(p=0.1975)、握力が-0.3kg(p=0.4208)、5回椅子立ち上がりテストが0.0秒(p=0.9276、いずれも名目上のp値、ANCOVA)でした。

EMPA-ELDERLY試験における有害事象の発現率は、ジャディアンス10mg群で73.8%(48/65例)、プラセボ群で71.9%(46/64例)でした。
投与中止に至った有害事象は、それぞれ4.6%(3/65例)、4.7%(3/64例)、重篤な有害事象はそれぞれ12.3%(8/65例)、12.5%(8/64例)、死亡に至った有害事象はプラセボ群1.6%(1/64例)で、ジャディアンス10mg群では報告されませんでした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で便秘10.8%(7/65例)、発熱6.2%(4/65例)等、プラセボ群で鼻咽頭炎6.3%(4/64例)、下痢6.3%(4/64例)等でした。
投与中止に至った有害事象、重篤な有害事象、死亡に至った有害事象の内訳は表のとおりです。
日本におけるジャディアンス特定使用成績調査

ジャディアンスでは、2型糖尿病の治療を目的として初めてジャディアンスを服用する方を対象に、特定使用成績調査が実施されました。
7,931例の2型糖尿病のある方を、ジャディアンス投与開始から3年間にわたって前向きに観察し、副作用の発現状況を調査しました。

安全性解析対象集団の平均年齢は58.7歳で、75歳以上の割合は10.5%(830例)でした。全患者の平均HbA1cは8.02%、平均eGFRは82.43mL/分/1.73m2で、75歳以上では7.74%および66.84mL/分/1.73m2でした。合併症としては、高血圧、脂質異常症が多くみられました。

副作用は12.91%(1,024/7,931例)に発現しました。主な副作用は、多尿・頻尿1.29%(102/7,931例)、尿路感染1.07%(85/7,931例)、心血管イベント0.67%(53/7,931例)、性器感染0.66%(52/7,931例)などでした。

また本調査では、事前に規定されたサブグループ解析として、BMI別の解析も実施されました。

BMI別の副作用発現割合は、20kg/m2未満で11.66%(19/163例)、20から25 kg/m2未満で12.03%(203/1,688例)、25から30 kg/m2未満で13.88%(411/2,962例)、30 kg/m2以上で14.90%(295/1,980例)でした。
副作用のBMI別の発現割合は、図にお示しした通りです。

【参考情報】
ベースラインから最終観察時までの体重の変化量は全患者では-2.96kg(95%信頼区間:-3.08~-2.84)、BMI<20kg/m2では0.08kg(-0.80~0.97)、20~<25kg/m2では-1.51kg(-1.74~-1.28)、25~<30kg/m2では-2.96kg(-3.12~-2.80)、≧30 kg/m2では-4.28kg(-4.55~-4.00)でした。
2型糖尿病における腎イベントに対するジャディアンスの影響:EMPA-REG OUTCOME®腎アウトカム

さらにジャディアンスについては、EMPA-REG OUTCOME®試験により、心血管イベント発生のリスクが高い2型糖尿病のある方における腎アウトカムとして、アルブミン尿の変化に対する影響が検討されました。

なおこの試験には、eGFR≧60(正常または高値、軽度低下)で顕性アルブミン尿を呈さない患者、eGFR低下例で顕性アルブミン尿を呈さないDKD、eGFRに関わらず顕性アルブミン尿を呈するDKDといった幅広い腎機能の患者が含まれていました。

【参考情報】
ベースライン時のアルブミン尿カテゴリー別に192週までeGFRを追跡すると、図のように推移していました。

本試験での有害事象の発現率は、全体集団のジャディアンス10mg群で90.1%(2,112/2,345例)、25mg群で90.4%(2,118/2,342例)、プラセボ群で91.7%(2,139/2,333例)でした。本解析における有害事象は、ベースライン時に正常アルブミン尿の患者において、プラセボ群90.8%(1,255/1,382例)、ジャディアンス10mg群88.6%(1,245/1,405例)、ジャディアンス25mg群89.4%(1,237/1,384例)、ベースライン時に微量アルブミン尿の患者において、プラセボ群92.9%(627/675例)、ジャディアンス10mg群91.6%(591/645例)、ジャディアンス25mg群91.1%(631/693例)、ベースライン時に顕性アルブミン尿の患者において、プラセボ群94.2%(245/260例)、ジャディアンス10mg群92.7%(242/261例)、ジャディアンス25mg群94.0%(233/248例)に認められました。
その他の有害事象の発現状況については、スライドをご覧ください。

まとめ

ご紹介したように、ジャディアンスは高齢2型糖尿病における血糖低下作用、心血管ハイリスク2型糖尿病の腎機能に対するエビデンスを有する薬剤です。
利便性の面では、ジャディアンスは10mg錠と25mg錠での用量調整が可能であり、またDPP-4阻害薬トラゼンタとの合剤であるトラディアンス配合錠をお使いいただけば、1日1回1錠のままで、治療強化が可能です。

糖尿病治療の目標は、糖尿病の合併症の発症・進展を阻止し、糖尿病のない方と変わらない寿命と日常生活の質(QOL)の実現を目指すことです1)。
高齢2型糖尿病の腎機能の低下リスクを考慮した治療に、ぜひジャディアンスの処方をご検討ください。
- 日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド2024, p21, 文光堂, 2024
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