Specialist Interview 第2回 (Uncommon)
サイトへ公開:2023年07月27日 (木)
ご監修:渡辺 尚宏 先生(愛知県がんセンター 呼吸器内科部 医長)
近年、EGFR遺伝子をはじめとするドライバー遺伝子に対する分子標的治療薬が数多く登場してきました。
EGFR遺伝子変異の中でもバリアントによって薬剤感受性が異なることを示すデータも報告されており1)、個々の患者さんの遺伝子変異に応じた治療戦略の重要性が増しています。
本シリーズでは、EGFR遺伝子変異の実際や、EGFR遺伝子変異の結果に応じた治療戦略について、肺癌治療のスペシャリストの先生方へ伺います。
今回は、Uncommon mutationのEGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対する治療戦略とジオトリフに関して、愛知県がんセンター 呼吸器内科部 医長の渡辺 尚宏 先生にお伺いしました。
Uncommon mutationの治療戦略の考え方について教えてください。
まず、Uncommon mutationの症例は、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの中でもそう多くありません。海外の報告では、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに占めるUncommon mutation(単独)の割合は8%と報告されていて(図1)2)、当院でもおおむね同程度の頻度です。Uncommon mutationでは症例数が限られることから、臨床データがなかなか得られにくいという実情があります。しかしながら、そうした状況であっても、やはり基本はエビデンスに基づいて検討することが大切だと思います。

図1
ガイドラインでは、CQ50 a.にあるように、Uncommon mutationであるExon18-21の遺伝子変異に対する一次治療では EGFR-TKI単剤療法を行うよう提案するとされています(図2)3)。これを見て、もしかするとどのEGFR-TKIも同じという印象を受けるかもしれません。しかし、私はEGFR-TKIによってエビデンスの集積度合いは異なると考えています。

図2
Uncommon mutationに対する治療選択としてのジオトリフをどのように評価されていますか?
ジオトリフは、基礎データ、臨床データ含め、Uncommon mutationに対するエビデンスがあります。基礎データとしては、EGFR遺伝子変異を導入した細胞を用いてEGFR-TKIへの感受性を検討したin vitro 研究において、図3のとおり多くの遺伝子変異導入細胞がジオトリフ(アファチニブ)に感受性を示したことが報告されています。
また、臨床データとして特に重要視したいのは、第Ⅲ相試験であるLUX-Lung2,3,6試験の統合解析として、Uncommon mutationに対する検討がされている点です。この解析では、Exon18-21の点突然変異または重複の群において、PFS中央値が10.7ヵ月であったことが示されています(下記)。

図3
こうしたデータに基づいて、私はExon20挿入以外のUncommon mutationに関しては、どのバリアントであっても基本的にはジオトリフを選択肢のひとつとして検討しています。
また、これはUncommon mutationに限ったことではありませんが、ジオトリフは用量別に4種類の剤形が設定されており、減量が必要な場合に用量調整がしやすいことも、選択肢に挙げられる点です。

本解析は、Exon18-21の点突然変異または重複変異を有するグループ1、T790M変異を有するグループ2、Exon20挿入変異を有するグループ3に層別して行われました。

グループ1における主な遺伝子変異は、L861Q、G719X、S768Iなどでした。


奏効率は、グループ1で71.7%、グループ2で14.3%、グループ3で8.7%であり、グループ1ではCRも認められました。

発現頻度の高かったG719X、L861Q、S768Iにおける奏効率は77.8%、56.3%、100%、PFS中央値は13.8ヵ月、8.2ヵ月、14.7ヵ月でした。

なお、本解析では、安全性情報は収集しておりません。安全性情報に関しましては、製品電子添文をご参照ください。

Uncommon mutationに対するジオトリフのリアルワールドデータとしてUpSwinG研究 コホート1などがありますが、結果をどのようにご覧になっていますか?
もちろんリアルワールドデータはレトロスペクティブな検討であってさまざまな限界が内包されているので、一般的には第Ⅲ相試験で検証することが原則です。しかしUncommon mutationの場合、症例数が少なく第Ⅲ相試験を組みにくい対象であること、そしてUpSwinG研究は症例数246例と大規模なデータであることを踏まえると、重要なデータのひとつと考えられます。
本研究では、ジオトリフ(40mg)投与例のTTF中央値は12.8ヵ月、OS中央値は24.8ヵ月とあり(下記) 、全体的にも私たちの臨床での実感と乖離のないデータが示されているように思います。

【UpSwinG研究 コホート1について】
本研究は日本を含む9ヵ国における国際多施設共同後ろ向き研究で、Uncommon mutationにおける1次または2次治療としてのEGFR-TKIの治療成績を評価したものです。

検出された遺伝子変異タイプは、主要なUncommon mutation(72.8%)、Exon20 挿入(11.4%)、T790M(6.9%)およびその他の変異(8.5%)に大別され、32.9%の患者がCompound mutationを有していました。

承認開始用量でジオトリフを投与されたUncommon mutation患者において、TTF中央値は12.8ヵ月でした。遺伝子変異タイプ別の解析では、主要なUncommon mutation(G719X/L861Q/S768I)のサブグループにおけるTTF中央値は15.7ヵ月、Compound mutationで12.6ヵ月でした。

また、ジオトリフを投与されたUncommon mutation患者において、OS中央値は24.8ヵ月でした。主要なUncommon mutation(G719X/L861Q/S768I)のサブグループにおけるOS中央値は24.5ヵ月、Compound mutationで23.4ヵ月でした。

なお、本研究では、安全性情報を収集していません。

まとめ
・Uncommon mutationは症例数が限られることから臨床データが得られにくいものの、やはり基本はエビデンスに基づいて検討することが重要
・ジオトリフは第Ⅲ相試験であるLUX-Lung2,3,6試験の統合解析や大規模レトロスペクティブ研究であるUpSwinG研究など、Uncommon mutationに対するエビデンスがある

【引用】
- Kohsaka S, et al.: Sci Transl Med 9(416), eaan6566, 2017.
- Kim EY. et al.: Cancer Biol Ther 17(3), 237, 2016.
- 日本肺癌学会 編 肺癌診療ガイドライン 2022年版
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