筋炎に伴う間質性肺疾患患者さんの診断と治療(NSIPパターン)静止画
サイトへ公開:2022年02月28日 (月)
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ご監修・ご出演:東海大学医学部 内科学系 リウマチ内科学 教授 佐藤 慎二先生
先生が次のような症例を診療される場合、どのような管理をお考えになるでしょうか。


多発性筋炎/皮膚筋炎に伴う間質性肺疾患(PM/DM-ILD)患者さんの予後
多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)では、約2割から5割2-4)に間質性肺疾患(ILD)を合併することが報告されています。
こちらのデータでは、PM/DM-ILDのうち、進行性線維化を伴う患者さんは16%と報告されています。
PM/DMには抗ARS※抗体が陽性となる患者さんがいます。抗ARS抗体陽性ILDの短期的な予後は抗ARS抗体陰性PM/DM-ILDと比較して良好ですが、その一方で、徐々に線維化が進行する予後不良例や急性増悪症例の存在が報告され、長期的には累積生存率が徐々に低下していきます1)。
※ ARS:アミノアシルtRNA合成酵素

PM/DM-ILDの治療
膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針 2020では、PM/DM-ILDの治療アルゴリズムが提案されています。このアルゴリズムでは、PM/DM-ILD患者さんの治療方針は、肺病変の進行の速さおよび抗MDA5※1抗体や抗ARS抗体の有無で異なります。
慢性進行型のILDの場合、抗MDA5抗体陽性ないし抗ARS抗体陽性の場合は、プレドニゾロン(PSL)と免疫抑制薬※2を併用した治療が推奨されています。
両抗体とも陰性の場合は、臨床経過や検査・画像所見を考慮して、PSL+免疫抑制薬、あるいはPSL単剤による治療が選択されます。
※1 MDA5:melanoma differentiation-associated gene 5
※2 タクロリムス又はシクロスポリンが選択されることが多い。シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチルも用いられる。

こちらは、抗ARS抗体有無別のPM/DM-ILD患者さんに対するステロイド治療の反応性及び治療経過の結果です。初回ステロイド治療反応性は、抗ARS抗体陽性患者さんで、陰性患者さんよりも有意に高いことが示されました。その一方で、抗ARS抗体陽性患者さんではILDの再燃が高頻度で認められました。
この結果から、抗ARS抗体陽性のPM/DM-ILDの治療においては、初回ステロイド治療に加え免疫抑制薬を追加する必要性が示されました。

抗線維化薬による新たな治療選択の可能性
ILDの治療戦略は炎症及び線維化の程度によって異なり、炎症性の要因に対してはステロイドや免疫抑制薬など、線維化性の要因に対しては抗線維化薬を検討することが提案されています。PM/DM-ILDの主病態は炎症と考えられており、現時点では、それに対する治療が中心ですが、線維化性の要素に対する治療は今後の課題です。

こちらの進行性線維化を伴うILD(PF-ILD)の管理アルゴリズム案では、病歴及び診察所見、症状の評価、呼吸機能検査、HRCTでの肺の線維化の定量、肺生検など、初期の包括的な評価により、重症度や疾患進行度の評価を行った上で、中等症及び重症に分類された場合は、抗線維化療法の検討が提案されています。

オフェブの作用機序
抗線維化剤オフェブは、膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針 2020において、PM/DM-ILDの治療選択肢となる可能性のある薬剤として記載されています。
オフェブは、血管内皮増殖因子(VEGF)や血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)によるシグナル伝達を阻害することで、主に3つの作用を示すことが期待されます。
第1には、線維芽細胞の遊走、増殖、活性化を抑制する作用、第2には、線維芽細胞から筋線維芽細胞への形質転換を抑制する作用、最後は、免疫細胞からの線維化促進性サイトカインの放出を抑制する作用です。
これらのオフェブの作用によって、肺の線維化が抑制されると考えられています。

まとめ
PM/DM-ILD患者さんの中には、進行性の線維化を呈して呼吸機能が徐々に低下する予後不良例や急性増悪例の存在が報告されています。抗ARS抗体陽性のPM/DM-ILD患者さんはステロイドによる初期治療に対する反応性は良好ですが、減量の過程で再燃する割合が高く、この場合、肺の線維化が進行することも報告されています。そのため、進行性の線維化を伴うILDに対して抗線維化薬の追加投与が有用である可能性が考えられています。よって、抗線維化剤オフェブは進行性線維化を伴うPM/DM-ILDの治療選択肢のひとつとなると考えています。
今回ご紹介した内容を、PM/DM-ILD患者さんの診療にお役立ていただけますと幸いです。
【引用】
- 日本呼吸器学会 日本リウマチ学会. 膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針 2020. p.78. 2020
- Marie I. et al.: Arthritis Rheum 2002; 47(6): 614-622.
- Kang EH. et al.: Rheumatol Oxf Engl 2005; 44(10): 1282–1286.
- Tomimitsu H. et al.: Mod Rheumatol 2016; 26(3): 398-402.
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