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パーキンソン病患者における脳予備能の構造測定値と運動症状の進行との関係
サイトへ公開:2022年10月27日 (木)
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Association of Structural Measurements of Brain Reserve With Motor Progression in Patients With Parkinson Disease
ご監修:渡辺 宏久 先生(藤田医科大学医学部 脳神経内科学 教授)
Wang L, et al. Neurology 2022 Jun 6;10.1212/WNL.0000000000200814. Online ahead of print.
背景
パーキンソン病(PD)患者では黒質緻密部(SNc)のドパミン作動性ニューロンの変性及び脱落が約50%に達するまで運動症状は出現しない。ドパミン作動性ニューロンの変性及び脱落の出現から、運動症状が出現するまでの時間に遅延が生じる機序は神経回路に存在する代償機構によるものと考えられている。
神経細胞の数や完全性、シナプス密度などの指標は脳予備能(BR)と呼ばれ、脳体積による代替評価が可能であるが、皮質下体積が小さいPD患者では運動症状の進行が速いことが報告されており、BRはPDの運動症状の進行において代償的な役割を果たす可能性が示唆されている。
Deformation-based morphometry(DBM)は脳の形態的変化を定量化しBRを確認する手法である。DBM値と運動症状の評価スコアの変化率との関連性を検討することで、DBM値が高くBRが保持されているPD患者では代償機構が働き、運動症状の進行が遅いという仮説を立て、PD患者におけるDBM値と運動症状の進行との関連性について検討した。
方法
本研究は前向き縦断観察型多施設共同研究であるParkinson's Progression Markers Initiative(PPMI)及び復旦大学附属華山病院(以下、華山病院)の2つのコホートのデータを用い、T1強調MRI画像検査を施行し、フォローアップ時に運動症状の評価を受けた389例のPD患者を解析対象とした。
運動症状の評価にはMovement Disorder Society Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)、体位不安定歩行障害(PIGD)スコア及びSchwab & England ADL scaleの3つの評価スケールを用いた。なお、MDS-UPDRSは各項目ごとのスコア及び合計スコアを評価した(PartⅠ;日常生活での非運動症状、PartⅡ;日常生活での運動症状、PartⅢ;運動機能検査)。
T1強調MRI画像からDBM値を算出し、ベースラインのDBM値と運動症状の進行との関連性について線形混合効果(LME)モデルによる解析をボクセルごとに実施した。
PDの病態にはドパミン代謝及びグルコース代謝の異常が関係するため、華山病院コホートのPD群及び健常対照群において運動症状の進行とドパミントランスポーター(DAT)結合の変化及びグルコース代謝異常との関連性を検討した。
さらに、運動症状の進行と有意な相関関係を示すPDのリスク遺伝子を探索するため、トランスクリプトーム解析及び遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント解析を実施した。
結果
LMEモデルによる解析の結果、皮質下領域のベースラインにおけるDBM値と各評価スケールが反映する運動症状の進行速度との間には有意な相互作用が認められた(MDS-UPDRS PartⅡの絶対値β>0.27、MDS-UPDRS合計スコアの絶対値β>1.05、PIGDスコアの絶対値β>0.03、Schwab & England ADL scaleスコアの絶対値β>0.59、False Discovery Rate[FDR]補正後、すべてp<0.05、ピアソン相関分析、図1)。この結果から、ベースラインにおけるDBM値が低いPD患者では、運動症状がより速く進行する可能性が示唆された。
華山病院コホートのPD患者及び健常対照においてデュアルトレーサーPETのデータを用い、DAT結合(11C-CFT)の変化及びグルコース代謝異常(18F-FDG)と運動症状の進行を反映する評価スケールの進行関連パターン(PAP)との関連性を検討した。その結果、MDS-UPDRS PartⅡ、MDS-UPDRS合計スコア、PIGD及びSchwab & England ADL scaleのPAPは、11C-CFTのt値と正の相関を、18F-FDGのt値と負の相関を示した(図2)。これらの結果から、より多くのドパミン作動性ニューロンが変性及び脱落したボクセル、もしくは代謝活性が上昇したボクセルが、運動症状の進行に対応するための代償的な役割を果たしている可能性が示唆された。また、PPMIコホートと華山病院コホートのPD患者及び健常対照のデータを用いてPAPと皮質下領域のDBM値との関連性について検討した結果、PPMI及び華山病院の両コホートにおいてMDS-UPDRS PartⅡ、MDS-UPDRS合計スコア、PIGD及びSchwab & England ADL scaleのPAPと皮質下領域のDBM値のt値の間に強い正の相関が認められ、萎縮が大きいボクセルほど運動症状の進行に対応するための代償的な役割を果たしている可能性が示唆された(図2)。
トランスクリプトーム解析及びGOエンリッチメント解析によりPAPと有意な相関関係を示すPDのリスク遺伝子を探索した結果、α-シヌクレイン遺伝子(SNCA)の発現パターンがMDS-UPDRS PartⅡ及びSchwab & England ADL scaleのPAPと負の相関を示した。さらに、MDS-UPDRS PartⅡ、PIGD、Schwab & England ADL scale及びMDS-UPDRS PartⅢのPAPとニューロンの生成、分化及び形態形成などに関連する遺伝子の発現との間に相関関係が認められ、ニューロンの生成、分化及び形態形成などがPDの運動症状の進行に対応するための代償機構に関与している可能性が示唆された。
結論
本研究の結果、皮質下領域のDBM値が高く脳予備能が保持されたPD患者では、運動症状の進行に対応するためのより優れた代償機構が働き、結果として、運動症状の進行が遅くなる可能性が示唆された。本研究にはサンプルサイズが小さく、フォローアップの期間が短いという限界はあるが、脳予備能を反映するDBM値がPDの運動症状の進行を評価するバイオマーカーとなる可能性が支持された。今後、更なる知見が集積されることで、運動症状が進行するリスクが高いPD患者を特定し、運動症状の進行度を把握するなど、実臨床での応用が期待される。
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