ジャスケイドの特徴 総合製品情報概要より解説(静止画)

サイトへ公開:2026年05月27日 (水)

2026年5月、ジャスケイド®錠(一般名:ネランドミラスト)が「特発性肺線維症」(IPF)及び「進行性肺線維症」(PPF)の効能又は効果で承認されました。


ジャスケイドは、以下の特徴を有する製剤です。

ジャスケイドの特徴:

  • IPF及びPPFを対象としたPDE4Bに対する選択性の高い阻害剤です。
  • 抗線維化作用として肺線維芽細胞の形質転換及び増殖の阻害、免疫調整作用として腫瘍壊死因子(TNF)-αの産生及び放出の阻害、インターロイキン(IL)-2産生の阻害、インターフェロン(IFN)γ放出の阻害、気管支肺胞洗浄液(BALF)における好中球数増加の阻害が示されました(in vitroex vivoin vivo/マウス、ラット、スンクス)。
  • IPF患者を対象としたFIBRONEERTM-IPF試験の主要評価項目DBL1※1である、52週時の努力肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量における、ジャスケイド群とプラセボ群との調整済み平均値の群間差(95%CI)は、ジャスケイド18mg群では68.8mL(30.3, 107.4)、ジャスケイド9mg群では44.9mL(6.4, 83.3)であり、いずれの群においても有意差が認められ[それぞれp=0.0005、p=0.0222、混合効果反復測定モデル(MMRM)]、ジャスケイドのプラセボに対する優越性が検証されました。(検証的な解析結果)
  • PPF患者を対象としたFIBRONEERTM-ILD試験の主要評価項目DBL1※1である、52週時のFVCのベースラインからの絶対変化量における、ジャスケイド群とプラセボ群との調整済み平均値の群間差(95%CI)は、ジャスケイド18mg群では67.2mL(31.9, 102.5)、ジャスケイド9mg群では81.1mL(46.0, 116.3)であり、いずれの群においても有意差が認められ(それぞれp=0.0002、p<0.0001、MMRM)、ジャスケイドのプラセボに対する優越性が検証されました。(検証的な解析結果)
  • 1錠1日2回の経口投与製剤です。
  • 安全性
    重大な副作用:重度の下痢(1.3%)
    主な副作用:下痢(30.8%)、悪心(5.6%)、体重減少(5.5%)、食欲減退(4.6%)、背部痛(0.3%)、心房細動(0.1%)が報告されています。
    電子添文の副作用及び臨床成績の安全性の結果をご参照ください。

※1 初回データベースロック(DBL1:主要解析時点)は、ランダム化割り付けされた最後の患者が52週の評価を完了した時点

今回は、総合製品情報概要の内容を通して、これらのジャスケイドの特徴についてご紹介します。

 

■PDE4Bに対する選択性の高い阻害剤

 

ジャスケイドは、 IPF及びPPFを対象としたホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)に対する選択性の高い阻害剤です。
ジャスケイドはPDE4Bを阻害することにより、cAMPの細胞内濃度を増加させ、その結果として肺線維症において過剰発現される炎症性サイトカイン及び線維化促進増殖因子の発現が減少するため、免疫調整作用及び抗線維化作用をもたらします(図1)。

図1

PDE4ファミリーにはA~Dの4つのサブタイプがあり、さまざまな臓器系に分布しています。PDE4Bは特に肺と免疫系、PDE4Dは消化器系で高レベルに発現していることが報告されています。ジャスケイドは胃腸障害に関連する副作用の原因と考えられるPDE4Dへの親和性を軽減するために開発され、PDE4Bに対して、PDE4A、C及びDと比べて約9倍以上の阻害活性を有することが確認されています (図2)。

図2

ジャスケイドは、PPF患者を対象としたFIBRONEERTM-ILD試験、IPF患者を対象としたFIBRONEERTM-IPF試験により、PPF及びIPFに対する有効性及び安全性が検討されました。

■PPFにおける有効性・安全性【FIBRONEERTM-ILD試験】

国際共同第Ⅲ相試験であるFIBRONEERTM-ILD試験は、日本を含む44ヵ国403施設で実施された多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照比較試験です(図3)。

図3

本試験では、18歳以上のPPF患者1,176例が組み入れられ、1:1:1の割合でプラセボ群、ジャスケイド18mg群、ジャスケイド9mg群にランダム化されました。

主要評価項目は52週時のFVCのベースラインからの絶対変化量であり、重要な副次評価項目は治験期間中のILDの初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院又は死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間とされました。これらの各臨床イベントは個別に副次評価項目としても設定されています(図4)。

図4

本試験の結果、主要評価項目である52週時のFVCのベースラインからの絶対変化量のプラセボ群との群間差はジャスケイド18mg群で67.2mL、ジャスケイド9mg群で81.1mLであり、いずれの群においても統計学的な有意差が認められ(それぞれp=0.0002、p<0.0001、MMRM)、ジャスケイドのプラセボに対する優越性が検証されました(検証的な解析結果)(図5)。

図5

重要な副次評価項目である、治験期間中のILDの初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院又は死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間(複合評価項目)のプラセボ群に対するハザード比は、ジャスケイド18mg群で0.77、ジャスケイド9mg群で0.88であり、いずれの群においても有意差が認められず、優越性は示されませんでした(検証的な解析結果)(図6)。

図6

一方、個別の臨床イベントの解析において、死亡までの期間のプラセボ群に対するハザード比は、ジャスケイド9mg群では0.60でした。また、ジャスケイド18mg群では0.48で、52%のリスク低下がみられました。(図7)。

図7

有害事象の発現割合は、ジャスケイド18mg群で93.1%、ジャスケイド9mg群で93.9%、プラセボ群で94.1%でした。
また、投与中止に至った有害事象の発現割合は、ジャスケイド18mg群で11.3%、ジャスケイド9mg群で9.9%、プラセボ群で11.7%でした(図8)。

図8

主な有害事象の発現割合として、いずれかの群で10%超に認められた有害事象を示します。最もよくみられた有害事象は、下痢(ジャスケイド18mg群36.6%、ジャスケイド9mg群30.8%、プラセボ群25.0%;以下同順)、次いで咳嗽(15.6%、13.5%、15.3%)及び上気道感染(13.0%、10.7%、16.1%)でした(図9)。

図9

また、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象はそれぞれ図10~12のとおりでした。

図10

図11

図12

■IPFにおける有効性・安全性【FIBRONEERTM-IPF試験】

国際共同第Ⅲ相試験であるFIBRONEERTM-IPF試験は、日本を含む36ヵ国332施設で実施された多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照比較試験です(図13)。

図13

本試験では40歳以上のIPF患者1,177例が組み入れられ、1:1:1の割合でプラセボ群、ジャスケイド18mg群、ジャスケイド9mg群にランダム化されました。
日本人は135例が組み入れられ、プラセボ群37例、ジャスケイド9mg群44例、ジャスケイド18mg群54例でした。

主要評価項目は52週時のFVCのベースラインからの絶対変化量であり、重要な副次評価項目は治験期間中のIPFの初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院又は死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間と設定されました。これらの各臨床イベントは個別に副次評価項目としても設定されています(図14)。

図14

本試験の結果、主要評価項目である52週時のFVCのベースラインからの絶対変化量のプラセボ群との群間差は、ジャスケイド18mg群で68.8mL、ジャスケイド9mg群で44.9mLであり、いずれの群においても統計学的な有意差が認められ(それぞれp=0.0005、p=0.0222、MMRM)、ジャスケイドのプラセボに対する優越性が検証されました(検証的な解析結果)(図15)。

図15

重要な副次評価項目である、治験期間中のIPFの初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院又は死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間(複合評価項目)のプラセボ群に対するハザード比は、ジャスケイド18mg群では1.17、ジャスケイド9mg群では1.03であり、いずれの群においても有意差が認められず、優越性は示されませんでした(検証的な解析結果)(図16)。

図16

有害事象の発現割合は、ジャスケイド18mg群で96.7%、ジャスケイド9mg群で94.6%、プラセボ群で98.2%でした。
また、投与中止に至った有害事象の発現割合は、ジャスケイド18mg群で16.1%、ジャスケイド9mg群で13.5%、プラセボ群で13.0%でした(図17)。

図17

主な有害事象の発現割合として、いずれかの群で10%超に認められた有害事象のうち、最もよくみられた有害事象は、下痢(ジャスケイド18mg群42.4%、ジャスケイド9mg群32.1%、プラセボ群18.3%;以下同順)、次いで咳嗽(17.4%、18.4%、18.8%)及びCOVID-19(14.5%、18.6%、14.5%)でした(図18)。

図18

また、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象、死亡に至った有害事象はそれぞれ図19~21のとおりでした。

図19

図20

図21

■ジャスケイドの投与方法

ジャスケイドは通常、成人にはネランドミラストとして1回18mgを1日2回経口投与します。なお、患者の忍容性に応じて、1回9mg1日2回に減量することができます。
服用のタイミングは食前、食後、食間を問いません。

今回は、ジャスケイドの作用機序やIPFおよびPPFにおける有効性・安全性、投与方法をご紹介しました。
IPFおよびPPFにおける治療選択肢として、ジャスケイドをぜひご検討ください。

図22

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