ジャスケイド®錠 適正使用Q&A(静止画)

サイトへ公開:2026年08月28日 (金)

2026年5月、PDE4B阻害剤/抗線維化・免疫調整剤であるジャスケイド®錠(一般名:ネランドミラスト)が「特発性肺線維症」(IPF)及び「進行性肺線維症」(PPF)を効能又は効果として承認を取得し、同年7月に発売されました。

今回は、ジャスケイドの「効能又は効果」と「用法及び用量」に関するよくある質問について、電子化された添付文書(電子添文)をもとにご紹介します。

Q1 ジャスケイドはどのような患者さんが投与の対象となりますか? 

 

A1 ジャスケイドの効能又は効果は、「特発性肺線維症」(IPF)及び「進行性肺線維症」(PPF)です。

4. 効能又は効果
 〇特発性肺線維症
 〇進行性肺線維症
5. 効能又は効果に関連する注意
 〈進行性肺線維症〉
 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、肺機能、呼吸器症状及び胸部画像所見の総合的な評価により進行性線維化が認められる間質性肺疾患患者に本剤を投与すること。

 

本剤の投与対象患者であるIPF及びPPFは、IPF及びPPFの診断ガイドライン等の基準やPPFについてはFIBRONEERTM-ILD試験1,2)の臨床成績を参考に、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで、肺機能、呼吸器症状及び胸部画像所見の総合的な評価を行い、本剤の投与対象を判断することが重要です。

なお、各医療機関からの保険請求に係る審査は各地区の社保や国保において実施されており、審査の判断基準も各地区において異なることがあり得ます。詳細や最新の情報につきましては、地方厚生局や各地区の社保・国保の窓口にお問い合わせいただきますようお願いいたします。

Q2 効能又は効果のひとつであるIPFは、どのような疾患ですか?

A2 IPFは、通常型間質性肺炎(UIP)の放射線学的及び組織学的特徴を伴う原因不明の慢性線維化性間質性肺炎です。

主に高齢者に発症し、呼吸困難と肺機能の進行性の悪化を特徴とした、予後不良の疾患です。

診断にあたっては、『特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)』3)、『特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022(改訂第4版)』4)、『ATS/ERS/JRS/ALAT診療ガイドライン(2022年)』5)をご参照ください。

Q3 効能又は効果のひとつであるPPFは、どのような疾患ですか?

A3 PPFは、進行性線維化の疾患挙動を示すILD患者集団(IPFを除く)を指します。

これまでに進行性線維化の疾患挙動を示すILD集団に関して、類似かつ大きく重なりのある複数の基準が用いられてきましたが、「PPF」はこれらの複数の基準により特定された進行性線維化の疾患挙動を示すILD患者集団(IPFを除く)の総称です。

PPFの基準として代表的なものに、『ATS/ERS/JRS/ALAT診療ガイドライン(2022年)』の基準及びニンテダニブの国際共同第Ⅲ相試験、INBUILD試験6,7)で用いられたILDの進行性の基準があります(図1)。

図1

実臨床では本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで、肺機能や胸部画像所見、呼吸器症状と併せた総合的な評価を行い、本剤の投与対象を判断することが重要です。

FIBRONEERTM-ILD試験では、INBUILD試験のILDの進行性の基準をもとにIPF以外のILDを原疾患としたPPF患者を組み入れており、87.2%の対象患者が『ATS/ERS/JRS/ALAT診療ガイドライン(2022年)』の基準を満たしていました(ジャスケイド18mg群:87.0%、9mg群:86.8%、プラセボ群:87.8%)1,2)

Q4 ジャスケイドは、どのように投与しますか?

A4 ジャスケイドの用法及び用量は、次のとおりです。通常、成人にはネランドミラストとして1回18mgを1日2回経口投与してください。

6. 用法及び用量
 通常、成人にはネランドミラストとして1回18mgを1日2回経口投与する。
 なお、患者の忍容性に応じて、1回9mg 1日2回に減量することができる。
7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 ピルフェニドン又は強い若しくは中程度のCYP3A誘導剤と併用する場合は、本剤の投与量を1回9mg 1日2回に減量しないこと。
7.2 強いCYP3A阻害剤と併用する場合は、本剤の投与量を1回9mg 1日2回投与に減量すること。

 

Q5 「1回18mg 1日2回投与」と設定されたのはなぜですか?

A5 FIBRONEERTM-IPF試験8,9)及びFIBRONEERTM-ILD試験1,2)の結果から、肺機能低下抑制効果のみならず死亡リスク低下傾向を含めた有効性及び至適なベネフィット・リスクバランスを提供できる用量として設定されました。

※FIBRONEERTM-IPF試験8,9)及びFIBRONEERTM-ILD試験1,2)の結果について、本コンテンツ末尾でご紹介しています。あわせてご参照ください。

Q6 相互作用に注意が必要な薬剤はありますか?

A6 ジャスケイドは、CYP3A及びP-糖蛋白(P-gp)の基質となっています(in vitroデータ)。併用禁忌はありませんが、次の薬剤との併用にご注意ください。

●ピルフェニドン
本剤の主な代謝酵素であるCYP3Aが誘導され、本剤の曝露量が低下する可能性があります。
FIBRONEERTM-IPF試験では、ピルフェニドンの併用により、本剤のトラフ血漿中濃度が約50%低下したことが観察されています8,9)(図2)。

IPF患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験であるFIBRONEERTM-IPF試験には、対象にベースライン時に抗線維化薬(ニンテダニブもしくはピルフェニドン)を使用している患者と使用していない患者の両方が含まれました。

本試験の結果、ベースライン時にピルフェニドンを使用していた患者では、ベースライン時に抗線維化薬を使用していなかった患者と比較して、本剤のトラフ血漿中濃度がジャスケイド18mg群で48%、9mg群で55%低下しました(図2)。
ピルフェニドンを併用する患者では、ジャスケイドの投与量を1回18mg 1日2回とし、1回9mg 1日2回に減量しないでください。

図2

●強い又は中程度のCYP3A誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン、ボセンタン等)、セイヨウオトギリソウ(St. John’s wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の主な代謝酵素であるCYP3Aが誘導され、本剤の曝露量が低下する可能性があります。本剤の作用が減弱するおそれがあるため、これらの薬剤・食品と併用する場合は、本剤の投与量を1回18mg 1日2回とし、1回9mg 1日2回に減量しないでください。

●強いCYP3A阻害剤(クラリスロマイシン、イトラコナゾール、リトナビル等)
本剤の主な代謝酵素であるCYP3Aが阻害され、本剤の曝露量が上昇する可能性があります。これらの薬剤と併用する場合は、本剤の投与量を1回9mg 1日2回投与に減量してください。

7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 ピルフェニドン又は強い若しくは中程度のCYP3A誘導剤と併用する場合は、本剤の投与量を1回9mg 1日2回に減量しないこと。
7.2 強いCYP3A阻害剤と併用する場合は、本剤の投与量を1回9mg 1日2回投与に減量すること。

 

10. 相互作用
 本剤はCYP3A及びP-糖蛋白(P-gp)の基質である(in vitroデータ)。
10.2 併用注意(併用に注意すること)

*社内資料:非臨床薬物動態試験(ピルフェニドンによるCYP3A誘導)(2026年5月18日承認、CTD 2.6.4.8.3)

 

Q7 他のPDE阻害作用を持つ薬剤との併用についてデータはありますか?

A7 他のPDE阻害作用を持つ薬剤を投与した患者についての解析は実施しておりません。

実臨床における投与に関しては電子添文上の規定はございませんが、FIBRONEERTM-IPF試験及びFIBRONEERTM-ILD試験においては、スクリーニング前30日以内にPDE阻害薬(PDE1、PDE3、PDE4、PDE10阻害剤及び非選択的PDE阻害剤)の投与を受けた患者は除外基準に該当しており、また、試験期間中も非選択的PDE阻害剤及びPDE4阻害剤の併用投与は禁止されていました1,2,8,9)

Q8 免疫抑制剤との併用についてデータはありますか?

A8 FIBRONEERTM-ILD試験における免疫抑制剤の投与状況をご紹介します。

FIBRONEERTM-ILD試験では、原疾患の標準治療として用いられる一部の免疫抑制剤(ミコフェノール酸モフェチル等)の併用は制限されていました。一方、メトトレキサートやアザチオプリン、タクロリムスなどの使用は許容されており1,2)、ベースライン時に約24%が併用していました(図3)。これらを併用した部分集団において一般的に懸念される感染症につきまして、特記すべき安全性に関する項目として評価した「重度、重篤及び日和見感染症(結核菌感染症を含む)」の報告は以下のとおりでした(図4)。

図3

図4

※FIBRONEERTM-ILD試験の全体集団における安全性の結果について、本コンテンツ末尾でご紹介しています。あわせてご参照ください。

試験概要

本コンテンツでご紹介した、FIBRONEERTM-ILD試験及びFIBRONEERTM-IPF試験の概要はこちらのとおりです。

FIBRONEERTM-ILD試験の概要及び結果

図5

図6

図7

図8

図9

図10

図11

図12

図13

図14

FIBRONEERTM-IPF試験の概要及び結果

図15

図16

図17

図18

図19

図20

図21

図22

図23

図24

引用

  1. Maher TM. et al.: N Engl J Med 2025; 392(22): 2203-2214.
      本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。  
  2. 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(1305-0023試験)[承認時評価資料]  
  3. 日本呼吸器学会・厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「びまん性肺疾患に関する調査研究」班 監.「特発性肺線維症の治療ガイドライン」作成委員会 編:特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版). 南江堂, 2023.  
  4. 日本呼吸器学会・びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会 編:特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022(改訂第4版). 南江堂, 2022.  
  5. Raghu G. et al.: Am J Respir Crit Care Med 2022; 205(9): e18-e47.  
  6. Flaherty KR. et al.: N Engl J Med 2019; 381(18): 1718-1727. 
      本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。  
  7. 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(1199.247試験)[承認時評価資料]  
  8. Richeldi L. et al.: N Engl J Med 2025; 392(22): 2193-2202. 
      本試験はベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。  
  9. 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(1305-0014試験)[承認時評価資料]  

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