FIBRONEER™-ILD試験の有効性並びに安全性
サイトへ公開:2026年05月29日 (金)
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ジャスケイド®錠(一般名:ネランドミラスト)は「進行性肺線維症」(PPF)に適応を有する、ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)に対する選択性の高い阻害剤です。
ジャスケイドは、PPFの適応において5年ぶりとなる新たな治療薬です。今回は、ジャスケイドのPPFにおける承認根拠となったFIBRONEERTM-ILD試験についてご紹介します。
■ジャスケイドの作用機序
ジャスケイドは、PDE4Bを阻害することによりcAMPの細胞内濃度を増加させ、その結果として肺線維症において過剰発現される炎症性サイトカイン及び線維化促進増殖因子の発現が減少するため、免疫調整作用及び抗線維化作用をもたらします(図1)。
図1

国際共同第Ⅲ相試験 FIBRONEERTM-ILD試験
■試験概要
本試験は、日本を含む44ヵ国403施設で実施された二重盲検ランダム化プラセボ対照試験です。
PPFと診断された患者1,176例を対象に、ジャスケイド18mgを1日2回投与する群、ジャスケイド9mgを1日2回投与する群、またはプラセボを投与する群に1:1:1の比率で無作為に割り付け、試験薬を52週間以上にわたって投与しました(図2)。
図2

■患者背景
本試験の平均年齢は約66歳、男性が約55%を占めていました(図3)。
図3

また、ベースライン時にニンテダニブを使用していた患者が約44%組み入れられました(図4)。
図4

本試験は実臨床におけるPPF患者の原疾患分布を反映しており、対象となったPPF患者の27.6%(325例)が膠原病に伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)でした(図5)。
図5

ILD疾患別のベースライン時の患者背景は、図6のとおりでした。
図6

スクリーニング時にシクロホスファミド、トシリズマブ、リツキシマブ、ミコフェノール酸及びプレドニゾン(15mg/日超)の使用は許可されませんでしたが、これらの薬剤は試験開始6ヵ月以降には原疾患の増悪管理等に対して処方可能でした。なお、プレドニゾン15mg/日超については、ILDの急性増悪が疑われた場合にも使用が許容されました(図7)。
図7

一方、アザチオプリンやメトトレキサート、タクロリムスなどの免疫抑制薬の使用は許可されていました。いずれかの免疫抑制療法がなされていた患者の割合は全体集団では22.8~24.7%であり、CTD-ILDでは52.2~57.0%でした(図8)。
図8

ここがポイント:
本試験の対象には、ベースラインでニンテダニブを使用していた患者さんと、使用していなかった患者さんがそれぞれ含まれています。また、ILD疾患のうちCTD-ILDが最も多い割合を占めました。
■FVCのベースラインからの絶対変化量
本試験の結果、主要評価項目である52週時のFVCのベースラインからの絶対変化量は、ジャスケイド18mg群 -98.6mL、9mg群 -84.6mLであり、いずれもプラセボ群に対する統計学的有意差が認められ、ジャスケイドのプラセボに対する優越性が検証されました(検証的な解析結果)(図9左)。
また、2週目から52週目までの各群におけるFVCの絶対変化量は、図9右のグラフのように推移しました。
図9

ニンテダニブ使用状況別の解析において、プラセボ群との調整済み平均値の差(95%CI)は、ニンテダニブ使用ありでジャスケイド18mg群78.0mL(24.2, 131.8)、9mg群93.1mL(39.9, 146.3)、ニンテダニブ使用なしでジャスケイド18mg群58.9mL(12.1, 105.8)、9mg群71.8mL(24.9, 118.8)であり、FVC低下抑制はニンテダニブ使用状況別の両部分集団で認められました(探索的解析結果)(図10)。
図10

ここがポイント:
ジャスケイドは、プラセボに対して有意なFVC低下抑制効果を示しました(検証的な解析結果)。さらに、その効果はニンテダニブの使用の有無によらず認められました(探索的解析結果)。
■死亡までの期間
本試験では重要な副次評価項目(検証的な解析項目)として、治験期間中のILDの初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院又は死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間(複合評価項目)が解析されましたが、ジャスケイドのいずれの群においてもプラセボ群との統計学的有意差が認められず、優越性は示されませんでした(ジャスケイド18mg群p=0.0602、9mg群p=0.3398、Wald検定)(図11)。
図11

一方で、複合評価項目を構成する個別項目の解析において、死亡までの期間のプラセボ群に対するハザード比は、ジャスケイド18mg群で0.48(95%CI: 0.30, 0.79)、9mg群で0.60(0.38, 0.95)であり、ジャスケイド群におけるリスク低下が認められました(探索的解析結果)。ニンテダニブ使用状況別の解析結果は、それぞれ図のとおりでした(図12)。
図12

また、CTD-ILDのサブグループ解析において、死亡までの期間のプラセボ群に対するハザード比は、ジャスケイド18mg群で0.28(95%CI:0.11, 0.74)、9mg群で0.49(0.20, 1.16)でした(図13)。
図13

ここがポイント:
ジャスケイド18mg群、9mg群ともにプラセボ群に対する死亡リスクの数値的な低下が示されました(DBL1)(探索的解析結果)(図13)。
■安全性
有害事象はジャスケイド18mg群364例(93.1%)、9mg群369例(93.9%)、プラセボ群369例(94.1%)に認められました(図14)。
図14

ジャスケイド群における主な有害事象は、下痢 18mg群36.6%及び9mg群30.8%、咳嗽 15.6%及び13.5%、上気道感染13.0%及び10.7%などでした(図15)。
図15

投与中止に至った有害事象は、ジャスケイド18mg群44例(11.3%)、9mg群39例(9.9%)、プラセボ群46例(11.7%)に認められました。ジャスケイド群における事象として下痢(ジャスケイド18mg群10例、9mg群6例)、状態悪化(それぞれ6例)などが報告されました(図16)。
図16

重篤な有害事象は、ジャスケイド18mg群154例、9mg群150例であり、事象として状態悪化(それぞれ21例及び35例)、肺炎(それぞれ27例及び30例)、肺高血圧症(それぞれ10例及び7例)などが報告されました(図17)。
図17

死亡に至った有害事象は、ジャスケイド18mg群8例、9mg群18例であり、事象として状態悪化(それぞれ2例及び5例)、呼吸不全(ジャスケイド9mg群で3例)、敗血症性ショック(ジャスケイド9mg群で2例)などが報告されました(図18)。
図18

図19はニンテダニブの使用状況別の安全性です。有害事象は、ニンテダニブ使用ありでは、ジャスケイド18mg群161例(94.2%)、9mg群163例(94.2%)、プラセボ群162例(95.3%)に認められ、ニンテダニブ使用なしでは、それぞれ203例(92.3%)、206例(93.6%)、207例(93.2%)に認められました。
図19

ニンテダニブ使用状況別の有害事象の内訳は図20のとおりでした。最も多く報告された下痢の発現割合は、ニンテダニブ使用ありでジャスケイド18mg群49.1%、9mg群49.7%、プラセボ群37.1%、ニンテダニブ使用なしでそれぞれ26.8%、15.9%、15.8%でした。
図20

また、ILD疾患別の安全性は、図21のとおりでした。
図21

ここがポイント:
投与中止に至った有害事象の発現割合は、プラセボ群11.7%に対し、ジャスケイド18mg群11.3%、9mg群9.9%でした。
今回は、ジャスケイドのPPFにおける承認根拠となったFIBRONEERTM-ILD試験についてご紹介しました。
本試験では、ジャスケイドによるFVC低下抑制効果に加えて、死亡リスクの低下への寄与が観察されました。また、有害事象による投与中止率は、プラセボ群11.7%に対し、ジャスケイド18mg群11.3%、9mg群9.9%でした。
ジャスケイドを、これからのPPF治療における選択肢のひとつとしてお役立ていただけますと幸いです。
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