高齢のCKD患者さんの予後とジャディアンス10mgの有用性
サイトへ公開:2024年08月29日 (木)
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高齢のCKD患者さん(2型糖尿病非併発)の予後から考える早期治療の意義とジャディアンス10mgの有用性について解説します。

CKDにおいて、eGFR 60mL/min/1.73m2未満や蛋白尿が認められる場合は、透析導入や心不全のリスクを考慮し、早期の治療開始が求められます

先生の患者さんに、図に示すような、年齢70歳程度で、eGFR 55mL/min/1.73m2未満、尿蛋白(1+)といった慢性腎臓病(CKD)の患者さんで、2型糖尿病を併発していない方はいらっしゃいませんか?

日本透析医学会の報告では、透析患者さんの平均年齢は 69.87歳で、70歳以上の慢性透析患者数が増加傾向であることが示されています。
慢性透析患者さんの原疾患としては、糖尿病性腎症が約4割を占めていますが、残りの約6割は糖尿病によらないものと考えられています1)。
1) 日本透析医学会 統計調査委員会. わが国の慢性透析療法の現況(2022年12月31日現在)
https://docs.jsdt.or.jp/overview/index.html(2024年6月10日閲覧)

糖尿病のない患者さんでの透析導入のリスクには、eGFR<60mL/min/1.73m2(すなわちCKDステージG3a以降)と蛋白尿が関連します。
図は、国内の外来患者さんのレセプトデータから、糖尿病の有無、eGFR低下および蛋白尿の有無と、透析導入リスクの関連を評価したものです。糖尿病のない患者さんを抽出した結果、eGFR≧60mL/min/1.73m2かつ蛋白尿がない場合と比べた透析導入リスクは、eGFR<60mL/min/1.73m2かつ蛋白尿がない場合で4.21倍、eGFR<60mL/min/1.73m2かつ蛋白尿がある場合で113.4倍になりました。

eGFRの低下と蛋白尿はそれぞれが腎代替療法(慢性透析または腎移植)および心不全の独立したリスクになることも示されています。
図は、65歳以上における腎代替療法リスクまたは心不全リスクをeGFR別および尿蛋白別に示したものです。腎イベントや心イベントのリスクで色分けしており、緑(referenceを含む)→黄緑→薄い黄緑→黄色→薄オレンジ→濃いオレンジ→赤の順に、イベントリスクが高くなります。
例えば、冒頭でお示ししたeGFR 55mL/min/1.73m2未満、尿蛋白(1+)の患者さんの場合、尿蛋白(1+)は微量アルブミン尿の可能性があることから2)、eGFR 45~59mL/min/1.73m2かつUACR(尿中アルブミン/クレアチニン比)30~299mg/gCrの濃いオレンジ色で示された枠に相当し、腎機能が低下していない患者さん(eGFR 90~104mL/min/1.73m2かつUACR<10mg/gCr)に比べて、腎代替療法リスクが16倍、心不全リスクが2.9倍高いことが示されています。
また、この図では、eGFRの区分が同じであってもUACRが上昇するほど腎イベントと心イベントのリスクが高くなることが示されました。eGFR 45~59mL/min/1.73m2の枠を横に見ていくと、UACRが上昇していくにつれ、黄色から薄いオレンジ、濃いオレンジ、赤に変わっており、UACRの上昇順に、腎代替療法のリスクはそれぞれ3.7、7.9、16、42倍、心不全リスクはそれぞれ1.6、2.0、2.9、4.1倍に上昇しました。同様に、eGFR<60mL/min/1.73m2では、UACRの枠が同じであっても、eGFRが低下するほど腎イベントと心イベントのリスクは高くなりました。
これらのデータから、eGFRの低下(eGFR<60mL/min/1.73m2)や蛋白尿が認められるCKDには、早期から心保護、腎保護を考慮した治療が必要と考えられます。
2) 日本腎臓学会編. CKD診療ガイド2012. 東京医学社. 2012. p25
ジャディアンスは、EMPA-KIDNEY試験において、糖尿病合併や年齢を問わず日本人を含むCKDの患者さんに対する有効性が示されました

ジャディアンスの慢性腎臓病※治療薬としての有効性は、EMPA-KIDNEY試験で示されました。
EMPA-KIDNEY試験は、腎疾患進行のリスクのあるCKD患者さんを対象としたジャディアンスの国際共同第Ⅲ相・検証試験です。本試験にはアルブミン尿や糖尿病の有無を問わず、幅広いeGFRのCKD患者さん6,581例が含まれました。このうち日本人は584例でした。
※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

主要評価項目は腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間でした。全体集団におけるジャディアンス10mg群のプラセボ群に対するハザード比は0.73で、イベントリスクが27%低下し、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました(99.83%CI:0.59~0.89、p<0.0001、Cox回帰モデル)。
また、日本人集団において、同リスクのジャディアンス10mg群のプラセボ群に対するハザード比は0.44(95%CI:0.28~0.69)でした。

日本人集団における、腎疾患進行または心血管死の初回発現のサブグループ解析です。
ベースラインの糖尿病合併の有無別にみたところ、ジャディアンス10mg群のプラセボ群に対するハザード比は、糖尿病非合併例で0.46(95%CI:0.24~0.91)、糖尿病合併例で0.42(95%CI:0.23~0.77)でした。
年齢別にみたところ、ジャディアンス10mg群のプラセボ群に対するハザード比は、65歳未満で0.47(95%CI:0.23~0.95)、65歳以上で0.42(95%CI:0.23~0.75)でした。

日本人集団におけるeGFRの年間変化率(eGFRスロープ、負の値が小さいほど、1年あたりのeGFRの低下が少ないことを示す)(mL/min/1.73m2/年)は、ベースラインから最終フォローアップ来院まで(全期間)において、プラセボ群-3.56に対してジャディアンス10mg群-2.51でした。
SGLT2阻害薬投与においては投与初期1ヵ月間にGFR低下が認められ、その後eGFRスロープが緩やかになることが報告されており1)、急性変化の影響を取り除く方法として、急性変化の時期のeGFRを採択せずにそれ以降のスロープ(慢性期のeGFRスロープ)のみを計算する方法などが考えられています2)。このことから事前規定された2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院まで(慢性期)のeGFRスロープは、プラセボ群-3.53に対してジャディアンス10mg群-1.68であり、ジャディアンス10mg群はプラセボ群に対してeGFRスロープの低下が小さかったことが示されました(全期間:p=0.0012、慢性期:p<0.0001、いずれも名目上のp値、shared parameterモデル)。
1) 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023, 東京医学社, 2023. p13-4.
2) 濱野高行. 日腎会誌. 2018; 60(5): 577-80.

EMPA-KIDNEY試験では、安全性評価項目としての有害事象を、事前に規定した非重篤有害事象および全ての重篤な有害事象に限定して収集しました。
全体集団における発現割合はジャディアンス10mg群で43.9%(1,444/3,292例)、プラセボ群で46.1%(1,516/3,289例)でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風231例(7.0%)、コロナウイルス感染98例(3.0%)、急性腎障害93例(2.8%)等、プラセボ群で痛風266例(8.1%)、急性腎障害117例(3.6%)、コロナウイルス感染107例(3.3%)等でした。また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例等、プラセボ群で急性腎障害117例、コロナウイルス感染107例、血中カリウム増加87例等でした。投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

日本人集団における発現割合はジャディアンス10mg群で37.7%(110/292例)、プラセボ群で38.0%(111/292例)でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で低血糖9例(3.1%)、白内障手術8例(2.7%)、脱水6例(2.1%)等、プラセボ群で白内障手術15例(5.1%)、動静脈シャント手術、血中クレアチニン増加各9例(3.1%)等でした。また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群で白内障手術8例、末期腎疾患5例、動静脈シャント手術4例等、プラセボ群で白内障手術15例、動静脈シャント手術、血中クレアチニン増加各9例等でした。投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。
ジャディアンス10mgは新たに慢性腎臓病※1にも使用可能となりました

2024年、慢性腎臓病※1治療の選択肢の一つに新たにSGLT2阻害薬のジャディアンス10mgが加わりました。
ジャディアンス10mgは、「2型糖尿病」、「慢性心不全※2」に続き「慢性腎臓病※1」に対して投与可能となりました。
※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
※2 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
ジャディアンス10mgを、CKD患者さんにお役立てください

人生100年と考えた際、図に示すような年齢70歳の患者さんのCKD治療においては、その先30年といった長期予後を見据え、CKDの進行抑制のために適切な治療が必要です。特に、eGFRが60mL/min/1.73m2を下回り、蛋白尿がある場合、透析開始や心不全のリスクが高まることから、腎保護、心保護の観点から早期の治療介入が重要となります。
ジャディアンス10mgは、糖尿病の合併や年齢にかかわらず、幅広いeGFRのCKD患者さんを対象に行われた臨床試験に基づき、「慢性腎臓病※」の効能又は効果が新たに承認されました。ジャディアンス10mgを、CKD患者さんの治療にお役立てください。
※ ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
その他の関連情報
腎疾患の進行を遅らせるための日々の腎機能のチェック―eGFRスロープの意義―
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