慢性腎臓病(CKD)診断基準の根拠(動画)
サイトへ公開:2026年06月26日 (金)
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ご監修:今井 圓裕 先生(中山寺いまいクリニック 院長)
慢性腎臓病(CKD)という疾患概念は、2002年に米国のK/DOQIガイドラインによって初めて提唱されました。1)
その後、国際的な組織であるKDIGOが設立され2004年にこの定義とステージ分類に合意したことで、CKDは世界共通の概念として確立されました。2) この世界的な動向を受け、日本では2007年に日本腎臓学会から最初のCKD診療ガイドが発表されました。3)
CKDの疾患概念の提唱から、現在の診断基準やステージ分類の確立に至るまで、各時点における主要データをその背景とともにご紹介いたします。
1)National Kidney Foundation. Am J Kidney Dis. 2002 ; 39(2 Suppl 1): S1-266.
2)Levey AS, et al. Kidney Int. 2005 ; 67 : 2089-100.
3)日本腎臓学会 編.CKD診療ガイド2007.東京医学社, 2007
ここからは、SGLT2阻害薬であるジャディアンスの慢性腎臓病領域でのエビデンスをご紹介します。
EMPA-KIDNEY試験は腎疾患進行のリスクのある慢性腎臓病患者を対象に、ジャディアンス10mgを1日1回経口投与した時の腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間に対する有効性および安全性を、プラセボと比較検討した試験です1)。

1)社内資料 腎疾患進行のリスクのある慢性腎臓病患者を対象とした国際共同第Ⅲ相・検証試験(承認時評価資料)
有効性、安全性の評価項目、解析計画はご覧の通りです2)。

2)The EMPA-KIDNEY Collaborative Group. N Engl J Med. 2023 ; 388(2) : 117-27.
本試験の特性として注目いただきたい点は、慢性腎臓病の適応取得を目的とした大規模臨床試験において初めて蛋白尿区分A1を組み入れ、eGFR値20以上の患者が登録された点です。
こちらに示したように、糖尿病合併、心血管疾患の既往の有無などにかかわらず、幅広い患者背景の慢性腎臓病患者が組み入れられました3)。

3)KDIGO. Kidney Int. 2024 ; 105(4S) : S117-314.
主要評価項目である腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間の、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.73(99.83%CI:0.59~0.89)、p<0.0001(Cox回帰モデル)であり、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました。
全体集団のサブグループ解析において、RAS阻害薬使用群では、ジャディアンス10mgの投与により、主要評価項目のリスクが29%低下しました(p<0.0001、名目上のp値、Cox回帰モデル)。

日本人集団では、ジャディアンス10mgの投与により、主要評価項目のリスクが56%低下しました(p=0.0004、名目上のp値、Cox回帰モデル)。
なお、日本人集団のサブグループ解析における腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間の、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は、糖尿病非合併群で0.46(95%CI:0.24~0.91、Cox回帰モデル)、RAS阻害薬使用群で0.44(95%CI:0.27~0.74、Cox回帰モデル)でした。

CKD進行を評価する指標の一つに、eGFRの低下速度を表すeGFRスロープがあります4)。
eGFRスロープは、1年当たりのeGFRの低下速度を示します。治療介入によってeGFRスロープの低下が0.5~1.0mL/min/1.73m2/年緩やかになると、腎疾患進行が抑制される可能性があります5)。
しかし、CKDは不可逆に進行することから、治療介入によりeGFRの低下速度が抑制されたとしても、治療介入のタイミングによっては、最終的に腎代替療法の導入が必要となる場合があります6)。腎代替療法導入を回避するためにも、早期介入を行う必要があります。

4)厚生労働省. AMED研究班報告 : 早期慢性腎臓病の治療薬開発におけるサロゲートエンドポイントを用いた臨床評価ガイドライン.
https://jsn.or.jp/academicinfo/report/surrogate-endpoint_guideline_20230222.pdf(2026年5月15日閲覧)
5)Levey AS, et al. Am J Kidney Dis. 2020 ; 75(1) : 84-104.
6)Levey AS, et al. Am J Kidney. 2014 ; 64(6) : 821-35.
EMPA-KIDNEY試験でもeGFRの低下速度に対する作用としてeGFRスロープを検討しました。
全体集団では、ベースラインから最終フォローアップ来院まで(全期間)において、ジャディアンス投与により、eGFRの低下速度が0.74mL/min/1.73m2/年緩やかになりました(vs. プラセボ群、p<0.0001、名目上のp値、shared parameterモデル)。
また、2ヵ月目の来院から最終フォローアップ来院まで(慢性期)において、ジャディアンス投与により、eGFRの低下速度が1.36mL/min/1.73m2/年緩やかになりました(vs. プラセボ群、p<0.0001、名目上のp値、shared parameterモデル)。

また、全体集団のサブグループ解析において、糖尿病の有無にかかわらず、ジャディアンス10mg群は、慢性期におけるeGFRの低下速度を有意に抑制しました(vs. プラセボ群、糖尿病合併・非合併:各p<0.0001、いずれも名目上のp値、shared parameterモデル)。

日本人集団でのサブグループ解析では、全期間、慢性期の両方で、ジャディアンス10mg群はeGFRの低下速度を有意に抑制しました(vs. プラセボ群、全期間:p=0.0012、慢性期:p<0.0001、いずれも名目上のp値、shared parameterモデル)。

尿中のアルブミン量を検討した尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)については、ジャディアンス10mg群はプラセボ群と比較し、2ヵ月時で16%低下、36ヵ月時で18%低下し、ともに有意差を示しました(2ヵ月時:p<0.0001、36ヵ月時:p=0.0249、いずれも名目上のp値、MMRM)。

EMPA-KIDNEY試験において、事前に規定した非重篤有害事象およびすべての重篤な有害事象に限定して有害事象を収集した結果、全体集団での発現割合はジャディアンス10mg群で43.9%(1,444/3,292例)、プラセボ群で46.1%(1,516/3,289例)でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風7.0%(231例)、コロナウイルス感染3.0%(98例)、急性腎障害2.8%(93例)などでした。
また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例などでした。
なお、投与中止、死亡に至った有害事象はご覧の通りでした。

EMPA-KIDNEY試験における日本人集団での有害事象の発現割合はジャディアンス10mg群で37.7%(110/292例)、プラセボ群で38.0%(111/292例)でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で低血糖3.1%(9例)、白内障手術2.7%(8例)、脱水2.1%(6例)などでした。
また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群で白内障手術8例、末期腎疾患5例、動静脈シャント手術4例などでした。
なお、投与中止、死亡に至った有害事象はご覧の通りでした。

こちらは日本腎臓学会による、CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendationの内容です。
CKD治療において、糖尿病合併例にはアルブミン尿の有無にかかわらず、そして糖尿病非合併例でも蛋白尿が認められる場合はSGLT2阻害薬の開始が推奨されています。

2024年版のKDIGOガイドラインでは、CKDに関連するリスクの包括的な管理に関するアルゴリズムが掲載されており、SGLT2阻害薬は糖尿病の有無を問わず、多くのCKD患者に対する第一選択薬として位置づけられています。

ジャディアンスのエビデンスは、ジャディアンス錠10mgの適応症である慢性腎臓病※1、慢性心不全※2、2型糖尿病の3領域それぞれで示されています。
今回はジャディアンスの腎保護のエビデンスであるEMPA-KIDNEY試験をご紹介しましたが、心保護および血糖管理においてもジャディアンスの有効性と安全性が検討されていますので、これらの成績を踏まえて、実臨床でどのように役立てるべきか、ご検討ください。

※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
※2 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
なお、ジャディアンスは、慢性腎臓病※1、慢性心不全※2に対しては、1日1回10mg、2型糖尿病に対しては1日1回10mgまたは25mgの用量が設定されており、2型糖尿病に対しては治療強化が可能です。

※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
※2 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
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