慢性腎臓病が引き起こす心不全の発症リスクと予後改善のための治療アプローチ
サイトへ公開:2025年09月29日 (月)
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心腎連関の観点から、慢性腎臓病による心不全の発症リスクと心疾患既往のある慢性腎臓病患者の予後改善のための治療アプローチについて解説します。

こちらの患者さんに対して、どのような治療を選択されますか?

こちらの患者さんは心疾患の既往があり心不全ステージBで、慢性腎臓病と診断されています。
高血圧治療のためにARBを使用していますが、eGFRは47.5mL/min/1.73m2、血清クレアチニンは0.9mg/dLで、CKDステージはG3aです。
このような患者さんに対して、どのような治療を選択されますか?
慢性腎臓病合併により心不全リスクが高くなる

心臓と腎臓は密接に関わりあっていることから、慢性腎臓病と心不全は互いに悪影響を及ぼし、患者の予後の悪化を加速させます。
そのことを示すように、心不全患者が慢性腎臓病を合併すると全死亡や心不全による入院のリスクが、慢性腎臓病患者が心不全を合併すると死亡リスクが、それぞれ上昇することなどが過去の疫学研究で示されています。

CKDを合併した際の心不全の発症リスクには、eGFRおよび蛋白尿が関連しています。
図左は、心房細動患者における心不全イベントの発現率を示しています。eGFR値が低い群ほど心不全イベントの発生率が高く、また、eGFR 30 mL/min/1.73m2未満を除くすべてのeGFR群において、タンパク尿ありの場合は、なしの場合と比較して心不全イベントの発現率が有意に高くなっていました(p<0.01、名目上のp値、独立標本t検定)。
また、図右は、心筋梗塞退院後の心不全発症リスクをCKDステージ別にみています。ステージG1をリファレンスとした時、心不全の発症リスクはG3aおよびG3bで1.43倍、G4で2.34倍と有意に高いことが示されました(いずれもp<0.05、多変量比例ハザードモデル)。

心不全の発症リスクは腎機能の低下と相関します。
図は日本人を含む24コホートの患者を対象に行ったメタ解析の結果です。eGFR 95mL/min/1.73m2をreferenceとした時、心不全のハザードはeGFRが低下するほど上昇し、eGFRが45mL/min/1.73m2まで低下すると、心不全のハザード比は2を超えていました(p<0.05、Cox比例ハザードモデル)。

eGFRは値の高低だけではなく、eGFRの低下速度を示すeGFRスロープも心不全の発症リスクと関連します。
海外の疫学研究では、eGFRスロープが0で腎機能が安定している群と比較して、負の値が大きい群ほど、つまりeGFRの低下速度が速いほど心不全リスクが上昇し、eGFRスロープが≦-5mL/min/1.73m2/年の群では心不全のハザード比が2倍以上でした。
こうした点を踏まえると、心不全の既往がある場合、将来の心血管イベントリスクを考慮して、eGFRの低下を抑える慢性腎臓病治療が望ましいと考えます。
慢性腎臓病患者に対するジャディアンスの有効性・安全性を検討したEMPA-KIDNEY試験

ジャディアンスは、2型糖尿病の有無を問わず、進行性の慢性腎臓病患者を対象としたEMPA-KIDNEY試験において、1日1回経口投与による有効性と安全性を検討したSGLT2阻害薬です。
本試験では、心血管疾患の既往ありの患者が26.8%、RAS阻害薬使用中の患者が85.2%含まれました。

主要評価項目である腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間の、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.73(99.83%CI:0.59~0.89)、p<0.0001(Cox回帰モデル)であり、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました。
また、RAS阻害薬を使用している方にジャディアンス10mgを投与した場合でも、主要評価項目のリスクが29%低下しました(p<0.0001、名目上のp値、Cox回帰モデル)。

eGFRスロープは全期間、2ヵ月目の来院から測定した慢性期の両方で検討されました。その結果、いずれの期間においても、ジャディアンス10mg群は、プラセボ群と比べてeGFRの低下速度を有意に抑制しました(いずれもp<0.0001、名目上のp値、shared parameterモデル)。

安全性について、事前に規定した非重篤有害事象および全ての重篤な有害事象に限定して有害事象を収集した結果、全体集団での発現割合はジャディアンス10mg群で43.9%でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風7.0%、コロナウイルス感染3.0%、急性腎障害2.8%等でした。
また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例等でした。
なお、投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

なお、ジャディアンスは、慢性腎臓病※1、慢性心不全※2に対しては、1日1回10mg、2型糖尿病に対しては1日1回10mgまたは25mgの用量が設定されています。
※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
※2 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

今回はジャディアンスの腎保護のエビデンスであるEMPA-KIDNEY試験をご紹介しましたが、ジャディアンスは数多くの試験によって、心保護および血糖管理に対するエビデンスが示されており、心腎連関や心腎代謝連関を考慮した治療に役立てていただけるSGLT2阻害薬です。

ご紹介したように、CKDにおける心血管イベントリスクを考慮した場合、特に心疾患既往歴のある患者においては、心腎連関の観点から慢性腎臓病治療が求められることがございます。その治療選択肢の一つとして、ジャディアンスをご検討ください 。
その他の関連情報
心血管イベントを考慮したCKD治療の4つの戦略とジャディアンスの臨床成績
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