心血管イベントのリスク因子となる慢性腎臓病
サイトへ公開:2025年08月28日 (木)
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心血管イベントリスク因子としての慢性腎臓病の影響とステージG3bの慢性腎臓病患者さんの予後改善のための治療アプローチについて解説します。

こちらの患者さんに対して、どのような治療を選択されますか?

こちらの患者さんは、eGFR 40mL/min/1.73m2、ステージG3b、尿蛋白定性(1+)で慢性腎臓病と診断されています。2型糖尿病は併発していません。
現在、高血圧治療のためにARBを処方されています。
このような患者さんに対して、どのような治療を選択されますか?
慢性腎臓病の進行は心血管イベントリスクを高める

心臓と腎臓は密接に関わりあっていることから、心不全と慢性腎臓病は互いに悪影響を及ぼし、患者の予後の悪化を加速させます。
そのことを示すように、心不全患者が慢性腎臓病を合併すると全死亡や心不全による入院のリスクが、慢性腎臓病患者が心不全を合併すると死亡リスクが、それぞれ上昇することなどが過去の疫学研究で示されています。

慢性腎臓病では、透析導入前に心血管疾患を発現し予後が悪化する可能性があります。
国内で実施された慢性腎臓病患者の3年間の予後調査では、ステージG3bの患者は透析導入に至った割合が3.9%であったのに対して心血管疾患および /または死亡に至った割合は5.3%でした。
また、CKDステージ別に心血管死の発現リスクを検討したメタ解析では、心血管死の発現リスクが、ステージ G1と比較してステージG3aで1.48倍、G3b で2.10倍であることが報告されました(いずれもp<0.05、メタ回帰分析)。

心不全の発症リスクは腎機能の低下と相関します。
図左は日本人を含む24コホートの患者を対象に行ったメタ解析の結果です。eGFR 95mL/min/1.73m2をreferenceとした時、心不全のハザードはeGFRの低下するほど上昇し、eGFRが45mL/min/1.73m2まで低下すると、心不全のハザード比は2を超えていました(p<0.05、Cox比例ハザードモデル)。
さらに、蛋白尿の存在も心不全のリスクになります。
図右の心血管疾患既往歴のない患者を対象とした観察コホート研究では、蛋白尿(∸)群と比較したハザード比は、蛋白尿(±)群で1.09、蛋白尿(≧1+)群で1.59となり、心血管イベントのリスクが有意に高いことが示されました(いずれも傾向検定のp<0.001、Cox回帰モデル)。

腎機能の低下だけではなく、eGFRの低下速度を示すeGFRスロープも心血管イベントリスクの上昇と関連します。
日本人を対象とした疫学調査では、eGFRスロープが急峻なほど(eGFRのスロープの負の値が大きいほど)、慢性腎不全を含む心血管イベントリスクが高いことが報告されています。
このようなデータを踏まえると、慢性腎臓病の患者さんに対しては、心腎連関を考慮して、eGFRの低下を抑制する慢性腎臓病治療を行うことが望ましいと考えます。
慢性腎臓病患者に対するジャディアンスの有効性・安全性を検討したEMPA-KIDNEY試験

ジャディアンスは、2型糖尿病の有無を問わず、進行性の慢性腎臓病患者を対象としたEMPA-KIDNEY試験において、1日1回経口投与による有効性と安全性を検討したSGLT2阻害薬です。

主要評価項目である腎疾患進行または心血管死の初回発現までの期間の、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群のハザード比は0.73(99.83%CI:0.59~0.89)、p<0.0001(Cox回帰モデル)であり、ジャディアンス10mg群の優越性が検証されました。
また、RAS阻害薬を使用している方にジャディアンス10mgを投与した場合でも、主要評価項目のリスクが29%低下しました(p<0.0001、名目上のp値、Cox回帰モデル)。

eGFRスロープは全期間、2ヵ月目の来院から測定した慢性期の両方で検討されました。その結果、いずれの期間においても、ジャディアンス10mg群は、プラセボ群と比べてeGFRの低下速度を有意に抑制しました(いずれもp<0.0001、名目上のp値、shared parameterモデル)。

また、慢性期のeGFRスロープは、ジャディアンス10mg投与により、UACRの程度やRAS阻害薬の使用の有無にかかわらず有意に抑制されました(UACR正常群:p=0.0008、微量および顕性アルブミン尿群:各p<0.0001、RAS阻害薬の使用なし群:p=0.0087、RAS阻害薬の使用あり群:p<0.0001、いずれもvs. プラセボ群、名目上のp値、shared parameterモデル)。

安全性について、事前に規定した非重篤有害事象および全ての重篤な有害事象に限定して有害事象を収集した結果、全体集団での発現割合はジャディアンス10mg群で43.9%でした。
主な有害事象は、ジャディアンス10mg群で痛風7.0%、コロナウイルス感染3.0%、急性腎障害2.8%等でした。
また、重篤な有害事象は、ジャディアンス10mg群でコロナウイルス感染98例、急性腎障害93例、血中カリウム増加76例等でした。
なお、投与中止、死亡に至った有害事象は表のとおりでした。

なお、ジャディアンスは、慢性腎臓病※1、慢性心不全※2に対しては、1日1回10mg、2型糖尿病に対しては1日1回10mgまたは25mgの用量が設定されています。
※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
※2 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

ジャディアンスは数多くの臨床試験により、腎保護に加え、心保護および血糖管理に対するエビデンスも示されていて、心、腎、そして代謝連関を考慮した治療にお役立ていただけるSGLT2阻害薬です。

今回は心血管イベントリスク因子としての慢性腎臓病の影響とステージG3bの患者さんの予後改善のための治療アプローチについて解説しました。
透析導入のリスクだけではなく心血管イベントリスクも考慮した慢性腎臓病※1治療の選択肢として、ジャディアンス10mgを、ぜひご検討ください。
※1 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。
その他の関連情報
心血管イベントを考慮したCKD治療の4つの戦略とジャディアンスの臨床成績
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