数字で見る、慢性心不全治療 第2回(静止画)
サイトへ公開:2024年08月29日 (木)
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腎機能が低下した心不全患者に対するジャディアンスの有効性・安全性
この患者さんのeGFRは・・・
↓
43.8 mL/min/1.73m2
このように腎機能が低下した心不全患者さんに対するジャディアンス処方の意義について、先生はどのようにお考えになるでしょうか?

腎機能が低下した心不全患者のリスク
本邦の前向き観察研究JCARE-CARD研究では、心不全の悪化により入院した患者の71.2%が退院時にeGFR<60mL/min/1.73m2であり、退院時のeGFR分布のピークは30~59mL/min/1.73m2の範囲にありました(図1)。
図1

さらに、本研究では、eGFRが低いほど全死亡および心不全による再入院のリスクが高かったことが報告されました(図2)。
図2

こうした腎機能低下によるリスクは、左室駆出率(LVEF)の低下の有無にかかわらずみられる可能性が示唆されています。
ASIAN-HF Registryに参加した心不全患者を対象とした調査では、HFrEFおよびHFpEFのどちらにおいても全死亡または心不全による入院の発現のハザード比が1.00を超えることが報告されました(図3)。
図3

このように、腎機能低下は心不全患者の予後に悪影響を及ぼすことが示唆されています。
ここからはジャディアンスでの心不全患者に対する有効性を検討した臨床試験をCKDの有無別解析も交えてご紹介します。
EMPEROR-Reduced試験/EMPEROR-Preserved試験 国際共同第Ⅲ相・検証試験
EMPEROR-Reduced試験では、LVEFが40%以下に低下した慢性心不全患者3,730例を対象に、ジャディアンス10mgを標準治療に追加したときの有効性および安全性をプラセボと比較検討しました(図4,5)。
図4

図5

EMPEROR-Preserved試験では、LVEFが40%を超える慢性心不全患者5,988例を対象に、ジャディアンス10mgを標準治療に追加したときの有効性および安全性をプラセボと比較検討しました(図6,7)。
図6

図7

主要評価項目である心血管死または心不全による入院の初回発現のリスクは、プラセボ群と比較してEMPEROR-Reduced試験のジャディアンス10mg群で25%、EMPEROR-Preserved試験のジャディアンス10mg群で21%有意に低下し、本結果からLVEFが低下した慢性心不全患者およびLVEFが保たれた慢性心不全患者の両方に対してジャディアンスの有効性が検証されました(EMPEROR-Reduced;HR=0.75、95.04%CI:0.65-0.86、p<0.0001、EMPEROR-Preserved;HR=0.79、95.03%CI:0.69-0.90、p<0.001、いずれもCox比例ハザード回帰モデル、検証的な解析結果)(図8)。
図8

CKDの有無別解析
各試験のCKDの有無別解析の結果をお示しします。
主要評価項目である心血管死または心不全による入院の初回発現のリスクを、CKD合併群(eGFR<60mL/min/1.73m2またはUACR>300mg/gCr)およびCKD非合併群に分けて解析した結果は、それぞれご覧のとおりでした(図9)。
図9

【参考情報】eGFRスロープ/eGFRのベースラインからの変化
心不全患者を対象としたジャディアンスの腎機能への影響として、eGFRスロープおよびeGFRのベースラインからの変化量の推移をお示しします。
EMPEROR-Reduced試験では、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群の推定されたeGFRスロープの差は1.733mL/min/1.73m2/年(99.9%CI:0.669-2.796)で有意差があることが検証されました(p<0.0001、ランダム係数モデル)。また、eGFRのベースラインからの変化量の経時推移は、プラセボ群およびジャディアンス10mg群でそれぞれご覧のとおりでした(図10)。
図10

EMPEROR-Preserved試験では、プラセボ群に対するジャディアンス10mg群の推定されたeGFRスロープの差は1.363mL/min/1.73m2/年(99.9%CI:0.861-1.865)で有意差があることが検証されました(p<0.0001、ランダム係数モデル)。また、eGFRのベースラインからの変化量の経時推移は、プラセボ群およびジャディアンス10mg群でそれぞれご覧のとおりでした(図11)。
図11

利尿薬増量イベントに対する影響
これらの試験では、その他の評価項目(探索的)として、利尿薬増量イベントに関する評価も行われました(図12)。
EMPEROR-Reduced試験では、初回の利尿薬増量イベントはジャディアンス10mg群で297例、プラセボ群で414例報告され、プラセボ群に対してジャディアンス10mg群で利尿薬増量イベントリスクの有意な低下が示されました(p<0.0001、名目上のp値、Cox比例ハザード回帰モデル)。
EMPEROR-Preserved試験では、初回の利尿薬増量イベントはジャディアンス10mg群で482例、プラセボ群で610例報告され、プラセボ群に対してジャディアンス10mg群で利尿薬増量イベントリスクの有意な低下が示されました(p<0.0001、名目上のp値、Cox比例ハザード回帰モデル)。
図12

EMPEROR-Reduced試験における有害事象発現割合は、ジャディアンス10mg群、プラセボ群の治験薬投与期間中央値1.17年、1.19年において、それぞれ76.2%、78.5%でした。ジャディアンス10mg群で発現割合が5%以上の有害事象は、心不全17.8%、低血圧7.0%などでした。
ジャディアンス10mg群では、重篤な有害事象が41.4%、投与中止に至った有害事象が17.3%、死亡に至った有害事象が9.7%に認められ、各内訳はご覧のとおりでした(図13)。
図13

EMPEROR-Preserved試験における有害事象発現割合は、治験薬投与期間中央値1.91年において、ジャディアンス10mg群で85.9%、プラセボ群で86.5%でした。ジャディアンス10mg群で発現割合が5%以上の有害事象は、心不全15.0%、尿路感染7.9%などでした。
ジャディアンス10mg群では、重篤な有害事象が47.9%、投与中止に至った有害事象が19.1%、死亡に至った有害事象が9.6%に認められ、各内訳はご覧のとおりでした(図14)。
図14

ジャディアンスの慢性心不全※1に対する用法及び用量
なお、ジャディアンスは、腎機能別の投与可能な範囲区分が適応症ごとに異なります。
慢性心不全※1に対しては、eGFRが20 mL/min/1.73m2以上の患者に対して投与可能で、20 mL/min/1.73m2未満および末期腎不全又は透析施行中では「本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがあるため、投与の必要性を慎重に判断すること」とされています(図15)。
※1ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
図15

ジャディアンスは、慢性心不全※1の転帰を改善する複数のメカニズムに影響を与える可能性があります(図16)。
腎機能を意識した心不全治療が求められる慢性心不全※1患者に対する選択肢のひとつとして、ジャディアンス錠10mgをぜひお役立てください。
※1 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
図16
その他の関連情報
腎疾患の進行を遅らせるための日々の腎機能のチェック―eGFRスロープの意義―
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